地理からの視点

デヴイッド・ハーヴェイ『新自由主義』読了。これはすごい本を読んでしまった。世の中のカラクリ、現在の格差社会と人々の不幸の原因がわかってしまった。自分の今までの無知を恥じるというより、知って良かったと思う。いろいろなことが「見えてくる」一冊だ。新自由主義が最悪なのは、その帰結が格差と経済の停滞にあるのからではなく、それを推し進めた連中の思惑の邪悪さにあったのである。さっそく松岡先生の千夜千冊を見に行ったら、我が意を得たりの評言が並んでいて、思わずご推奨の『ネオリベラリズムとは何か』と『パリ―モダニティの首都』を、不覚にも新自由主義の権化たるアマゾンで注文してしまった。社史で70年代後半以降を書いていて、そこで起こった事への自分の評価軸がないことに心細さを覚えていただけに(要するに「起こった事」の理解で手一杯だったのだ)、今に続く、自分の生きて来た時代を理解するきわめて有力な手掛かりを得た思いである。