浪曲と女子会

一月五日(土)晴
電車で浅草に赴く。人混みを掻き分け傳法院裏木馬亭に辿り着く。2500円の木戸銭を払って中に入る。初めて来たが中は椅子席であった。正午より浪曲新春特別公演始まる。まずは東家孝太郎の義賊もの。入門間もないせいか、声が青い。声質も好みではない。二番手玉川太福は若手ながら自作の「自転車水滸伝」で笑わせてくれる。男前だし声も通り、自転車ネタだけに文字通りチャリものをやらせたら面白い。ちょっと、また聞きに行きたいと思わせる芸である。三番目は富士琴美の国定忠治子連れ旅。途中で寝てしまった。次の鳳舞衣子の「亀甲縞と団十郎」は話としては面白いが、ここまでのところ女流はあまり私の好みではないようだ。藤田元春の人情モノは声こそ渋めだがタンカでちょこちょこ噛むのが気になった。ここで中入りとなり、講談が一席。神田翠月の「大名花屋」で話としてもよくできているし、話芸も面白く聞いた。浪曲に戻って天津ひずるの母モノ「母の罪」。この人の回し過ぎる節や艶歌じみたわざとらしい歌い方は嫌いである。結果として、女流浪曲師でまだ好みに出会っていない。トリは国本武春の「南部坂雪の別れ」。さすがに声は通るし節回しも絶妙で大いに堪能。この人のものはもっと聞きたい。初めて浪曲をライブで聞き、広沢虎造ばりの渋い声にこそ出会えなかったが、これからもたまに聞きに行きたいと思えるだけの面白さはあった。
それから地下鉄銀座線で渋谷に出る。五時モアイ像前待合せだが、五時十五分過ぎやっと五名が参集し、近くの居酒屋に入る。同時期に竹友会に在籍した同時期会で、アメリカから一時帰国したS氏を迎えての会の筈なるも同氏の都合が悪くなり、結局来れたのは余を除くと四名女性ばかりになる。暫くして家人ともうひとり余と同期の女性も加わり、女子会に乱入せし様相を呈す。九時半過ぎ散会となり家人と倶に帰宅。時間が長かったせいもあり結構日本酒を呑んだようで酔いが回る。十二時就寝。