2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

寒い一日

一月三十日(土)陰 午前讀書。午後出掛けて恵比寿にて散髪を爲す。此処數ヶ月通つてゐる美容院にて、店主M氏の技術高く、姿形も良く寝癖もつきにくく滿足也。其れから三鷹に行き小學校の同級生七人と飲む。余の在籍せし學級は今も仲が良く、年に數囘はかうし…

かをりをりのうた 9

一月二十九日(金)雨 いづれともわかれざりけり春の夜は月こそ花のにほひなりけれ ―和泉式部〜『和泉式部續集』より 十八・九歳の頃余は和泉式部に耽溺してゐた。岩波文庫『和泉式部歌集』は當時の愛讀書であり、好きな歌には番號に丸を付けてゐる。今囘見直…

更に

一月二十七日(水)晴 更に言へば、「人の爲に」とか「皆さんを笑顔にする爲に」何かをしてゐると、何かにつけて口にするのも一種の奢りではないかと思ふ。無償でやるなら兎も角、其れによつて生活の糧を得てゐるにも拘らず、恰も善い事をしてゐます的な言ひ方…

縁騙しポジテイブ詐欺

一月二十六日(火)晴 昨日、本ブログ三十萬囘閲覽達成。老人の繰言めいた駄弁を書き連ねて五年半近く。讀者の忍耐に感謝したい。 ところが昨夜は家人の話を聞いて氣分が重くなつた。彼女の周りにゐる、ポジテイブ思考の自分中心主義の連中に吐き氣を催したの…

土曜日

一月二十三日(土)晴 大寒波到來と云ふが左程寒くはない。九時半頃家を出で一如庵に赴き十一時より尺八稽古。久し振りである。二尺五寸管を拝借して吹く。音は良いのだが右腕を一杯に伸ばして吹くので肩が疲れて段々呂のロやツのメリが出にくくなる。途中で自…

大相撲十六日目

一月二十一日(木)晴 テレビをつけたら相撲中繼をやつてゐる。月曜なのに妙だなと思つてゐると、今場所だけ特別に十六日目があると言ふ。それから式典が始まつて余も出ることになり、並んで立つてゐると式辞を述べる筈の元サツカー選手が名前を間違へられたり…

熱い視線

一月十九日(火)晴 寒い朝が續いてゐる。其れでも女子高校生は生足である。通勤の途上驛迄の間や驛や電車の中でも澤山見掛ける。若さと健気さに驚嘆と感謝の思ひを禁じ得ない。余は祈りを込めて其の白い太腿や膝裏に視線を送る。冷たい視線ではなく、ホツトな…

初釜

一月十七日(日)陰 岳母の社中の初釜也。和服にて赴き濃茶の後余が作りたる組香さくさく香を爲す。其の後本來懐石なるも岳母の負擔大なるを鑑み松花堂辨當の晝餐となる。岳母心尽くしのもてなしなるに、中に見た途端「多過ぎ」とか「全部食べられない」等の發…

洗濯機

一月十四日(木)晴 年末に洗濯機が壊れた。メーカーに問ひ合わせた處、今時の洗濯機は七年で壊れるものなのださうだ。驚くべき事に本當に買つて丁度七年目であつた。昔の洗濯機は大事に使へばもつと持つてゐた筈だ。ただ、新製品の誘惑に負けて買ひ替へる事…

赤銅色の假面

一月十三日(水)晴 會社の若い人たちと何かのお祝ひといふことで一緒に晝食をとりにエレベーターに乘る。ところが一階で降りた際に私だけ取り殘されて皆先に行つてしまふ。店の名を聞いてゐなかつたので合流を諦め、會社の食堂で食べることにして、手にしてゐ…

不愉快

一月十一日(月)陰 携帯電話が壊れた。もう六年使つてゐる所謂ガラパゴス型であるが、突然電源が入らなくなり、困つてゐる。それと、東大に嗅覚を研究する偉い先生がゐて、マスコミなどの取材を受けた際面倒くさいと代りに余を紹介するのだが、これがとても不…

似た人

一月九日(土) さう言へば年末に甥に會つた際に余が或る俳優に似てゐると言はれた。余は知らないが、石井一孝といふ人ださうである。下町ロケツトといふ番組を觀てゐてそつくりだと思つたらしい。畫像を見せられたが自分ではピンと來ない。角度や表情で似るこ…

かをりをりのうた 8

一月八日(金)晴 飛梅の飛ぶ香はるけき寒昴(かんすばる)耳の迷宮に光刺すなり ー塚本邦雄〜『されど遊星』より 共感覚シリーズを續ける。飛梅は菅原道眞を慕つて京から太宰府まで飛んで行つた傳説の梅。寒昴は真冬の丁度今の時期の冷たい夜に冴え渡る星を指し…

訃音

一月五日(火)晴 昨日來脳幹から後頭部にかけて鈍痛があり、吐き気や眩暈もあつて病院に行く事も考へたが、今朝やや快方に感じたので會社に出掛けた。仕事始めである。所長代理格の執行役員のつまらぬ説示を拝聴して職場に戻ると、社内イントラネツト上に元取…

二日目

一月二日(土)晴 暖かき正月也。遅く起きて箱根驛傳を觀る。午後近所の神社に初詣に出掛け、後嶺庵にて最近入手した香木を聞いて銘をつけ、さらに岳母の社中の初釜にて行ふ予定の組香を新たに考案する。さらに恒例の、今年の抱負を妻と二人分墨書する。また、…

丙申元旦

大晦日から陣馬山麓の温泉に來り年を越す。女房孝行の積り也。湯に浸かり食べて寝るだけ。テレビも見なかつた。元日は山梨方面に車を走らせ、猿橋を見た後勝沼まで行きほうとうを食して歸る。猿橋は周辺含め思つたより見處あり。歸路岳父母の許に寄つて年始…