土曜日

一月二十三日(土)晴
大寒波到來と云ふが左程寒くはない。九時半頃家を出で一如庵に赴き十一時より尺八稽古。久し振りである。二尺五寸管を拝借して吹く。音は良いのだが右腕を一杯に伸ばして吹くので肩が疲れて段々呂のロやツのメリが出にくくなる。途中で自分の二尺三寸に戻すと輕くて吹きやすい。ゴルフや野球で練習時に重いクラブやバツトを振つてゐると本番に輕く感じるのと同じ原理である。其れから早稻田通りの古本屋を何軒か覗き武江年表を購ふ。鷗外先生も愛用した江戸時代の年表で、あると便利なので前々から欲しいと思つてゐたものである。ちくま學藝文庫版だが上中下三卷で二仟圓は安いと思ふ。遅めの晝餐の後高田馬場から澁谷に出て其處から池尻大橋に行き所用の後再び澁谷まで歩き五時に待ち合せ場所のモアイ像前に赴く。既にT田の姿あるももうひとりのW松が中々現れず携帯電話も通じないので止む無くふたりで近くの居酒屋に入る。T田は中學の時の友人にて余の就職一年目くらゐまではよく一緒に遊んだ仲だが、其の後余が渡仏した後音信が途絶えてしまつた。數年前やつと再會して二度會つてはゐるが、クラス會や同窓會の席でもあり餘り詳しい話が出來なかつた。其れで今囘やつとじつくり話す機會を持つことが出來、其の後の互ひの人生の變轉を語り合ふ事が出來たのは幸ひであつた。其の間にW松からも連絡が入り、仕事のトラブルがあつて遅くなつたが向かつてゐると云ふ。やがてW松も現れ、暫く一軒目で飲んだ後近くのバーに移動して十時に散會。樂しい時間であつた。