尺八

音楽といふもの

トッパンホールで開かれた神令尺八演奏会に行く。曲目は根笹派調・下り葉、越後三谷、布袋軒鈴慕、琴古流鹿之遠音、諸井誠作曲対話五題。最後の二曲は、それぞれ青木鈴慕、藤原道山との連管。破綻のない綺麗な音色である。プロの演奏と言ってしまえばその通…

北條一族

東勝寺跡/腹切やぐら/宝戒寺の萩/宝篋印塔 この前の土曜、鎌倉に出掛けた。蒸し暑い中駅から歩いて東勝寺跡地に向かう。通りから谷の方に向かうと、それまではいた観光客の姿も急に見えなくなる。東勝寺橋で滑川を渡り、さらに進むと次第に道は傾斜となり、…

一念発起

最近、曲作りをはじめた。作曲である。もちろん、尺八の曲である。 松岡正剛先生に俳号を貰った際、是非尺八の曲を作るように言われていたことを思い出したからではないが、とにかく曲を作りはじめた。闘いの場で死んでいった武士の鎮魂をテーマにしたもので…

水石と竹韻

上野の東京都美術館にて「日本の水石展」を觀る。出品數も多く樂しむを得る。水石は長年の趣味なれど、これほど多くの水石を一度に觀るのは初めて也。廣小路で晝食の後午後一如庵に赴く。二時より如道會例會にて、竹韻に接す。余は布袋軒鈴慕を吹く。三月の…

十八年ぶり二十五年ぶり

三月十八日(土)晴後陰 午後高校時代の友人O氏来庵。薄茶、聞香、尺八の後懐石。滅多に会うことはないのだが、会えばしっくりと色々な話の出来る得難い友人である。十八年前に花火を見にたくさんの友人とともに当時藤沢にあつた拙宅に来てくれたのは覚えてい…

鯱鉾と一節切

三月四日(土)晴 朝食の後車で名古屋城に行く。東門近くに車を停め徒歩城内へ。流石に立派な石垣であり城内も広い。天守閣に登る。鯱鉾で有名ではあるが城の建築としては決して優美とは言えない。むしろ空襲で燃えた写真が印象的であった。展示を一巡して二…

一万二千歩

二月四日(土)晴 朝十時より関内にて仏蘭西語の授業を受け、一時に終了後近くで昼食をとってから、関内‐東京、大手町経由で早稲田に赴く。三時から戸山町一如庵にて尺八稽古。「虚空」と「越後三谷」。それから飯田橋経由水道橋に至り、家内と待合せて駅前に…

室町の香り

十一月二十三日(水)陰後雨 虚無僧研究会の第三十五回虚無僧追善供養尺八献奏会に牛込の法身寺に出掛ける。数年振りの参加だが、全般に音色が綺麗になり先日の雅楽と同じくα‐波とともに心地よく聴くことの出来る演奏が増えたように思う。特に室町期に作られた…

演奏会終了

十月十四日(金)晴 火曜の夜嶺庵で尺八の練習をするうち俄かに寒気を催し、葛根湯を服して休むも翌朝体調優れず。止むを得ぬ仕事のあれば出社するも、午後身体の節々に怠さを覚えて早退す。木曜朝に至って更に喉の痛み加わり、翌日の演奏会を控え休むことに…

淺草早稲田

十月朔日(土)陰 朝九時過ぎ家人と倶に家を出づ。新橋から地下鐡に乘り換へようとすると、SL廣場にて古本市開催中なれば一巡りして杉浦明平『崋山探索』を得る。銀座線で淺草に赴き、雷門の並木藪にて蕎麦を食してから伝法院通りの辻屋本店に行く。黒紋付き…

盛り沢山

九月二十四日(土)陰時々雨 五時半過ぎ起床。八時前夏目坂から少し入った処にある一如庵に着く。布袋軒鈴慕の稽古を令先生から受ける。自分で気づかない吹き癖を多く指摘されるとともに、音の下るところや音程の取り方など細かく指導を受ける。文字通り、ひと…

一転

六月十一日(土)晴後陰 三時より一如庵にて稽古。流し鈴慕につき、音程やコミ吹きの入れ方、そしてテンポなどにつき細い指示を先生より戴く。自分でも不確かに吹いていたところもあり、色々なことが明確になってとても為になるお稽古であった。また、先生より…

茶話會

三月十九日(土)雨後陰 會社の同僚S氏を招いて茶話會。もうひとり臺湾からの賓客も招いてゐたが、身内に不幸があつて臺湾に歸つてゐるので殘念ながら來られず。煎茶道での玉露の呈茶、聞香、薄茶といつも通り進み、尺八を聽いて貰つた後は酒席。S氏は藝術や…

片付く

三月十二日(土)晴 十一時より一如庵にて尺八稽古。秋の演奏會につき吹奏したき旨傳ふ。ついては竹號を頂戴することになる。嬉しき限り也。更に先生所蔵の宮嶋詠士の書も頂戴することになる。嬉しさ言はむ方なし。有難きこと也。夏目坂にてつけ麺を食し、惠比…

京都二日目

三月六日(日)陰 朝起きて風呂に入り九時過ぎ宿を出で地下鐡にて京都驛に往く。驛構内に粥を出す店ありとの情報を得て赴くも品書きになく止む無く其の儘東福寺に向かふ。結局何も食べずに十時前明暗寺に着き、坐禅衣に着替えて外に出て尺八を吹く。十一時より…

京都一日目

三月五日(土)晴 新横濱九時過ぎの新幹線にて京都に移動。烏丸三條の旅宿に荷物を置いてから徒歩尾張屋に行き蕎麦を食す。晝前に入つたので直ぐに座れたが出るころには長蛇の列であつた。暑いくらゐの陽気の中夷川通り寺町通りを歩み市役所前の廣場のベンチで…

懐かしいもの・こと

二月二十七日(土)晴 十一時より道場で尺八稽古。先生より十月の某演奏會での演奏を打診さる。前向きに検討することにす。晝餉は夏目坂を上つて中村屋で地鶏南蛮蕎麦を食す。一時より學生會舘に赴き、竹友會現役學生の就職活動を支援する懇談會のやうなものに…

曜變天目と瀧落

二月二十一日(日)晴 九時半過ぎ車で家人と出で静嘉堂文庫に赴く。曜變天目、油滴天目、長次郎作黒樂銘紙屋黒、唐物茄子茶入等茶之湯の世界で有名なる優品の數々を觀る。特に稲葉天目の別名を持つ曜變は、其の稲葉家からの賣り立ての際の経緯を高橋箒庵『萬象…

土曜日

一月二十三日(土)晴 大寒波到來と云ふが左程寒くはない。九時半頃家を出で一如庵に赴き十一時より尺八稽古。久し振りである。二尺五寸管を拝借して吹く。音は良いのだが右腕を一杯に伸ばして吹くので肩が疲れて段々呂のロやツのメリが出にくくなる。途中で自…

初釜

一月十七日(日)陰 岳母の社中の初釜也。和服にて赴き濃茶の後余が作りたる組香さくさく香を爲す。其の後本來懐石なるも岳母の負擔大なるを鑑み松花堂辨當の晝餐となる。岳母心尽くしのもてなしなるに、中に見た途端「多過ぎ」とか「全部食べられない」等の發…

誕生日

六月十五日(日)晴 朝七時より蹴球世界杯伊太利對英吉利戦を観る。伊太利勝つ。九時車にて家人の實家に行く。晝過ぎ出で二時より如道會例會に出席。S田先輩より此の日乘復活したる後家人に就いての言及なく家庭不和等を心配せられたる旨承る。元より杞憂にて…

掃苔の會

三月二十四日(月)晴 會社を休み八時半家を出で一如庵に赴く。十時半より尺八稽古。其の後神先生と鶴巻町キヤトル・フオンテーヌにて午餐。更に倶に早稲田より都電にて雑司ヶ谷に到る。文人墨客の墓を廻る第二囘掃苔の會にて、待合せの都電停留所脇に参ずる者…

横櫛と宝石

三月十五日(土)晴 余は縮緬の縞の着物に茶の帯、家人は大島に刺繍の入つた博多帯にて九時半出発。電車を乘り繼ぎ半蔵門に至り、徒歩國立劇場に十一時過ぎ到着。チケツトセンターにてチケツトを発券して大劇場に入る。晝食を早めにとり、十二時より三月歌舞伎…

妄想修業

三月十日(月)晴 會社は樂しいことばかりで仕事は樂。ありがたい。 四人のお氣に入り娘たちは、各々余にとりて違ふタイプの存在である。ひとりは自分が高校二年生で彼女がクラスの違ふ学園のマドンナのやうな存在。高嶺の花だが、何かのきつかけで普通の會話…

吉祥寺六義園競馬香

三月九日(日)晴 着物にて家人と外出。まず本駒込にて地下鐡を降り徒歩吉祥寺に赴く。甲斐荘楠香及び甲斐荘家の墓に詣づ。楠香の妻彦も此処に葬られてをり、其の短い生涯に興味を持ち調べてゐるので其の報告の意味があつた。其れから六義園に行き園内散策。ず…

アレグラ・ジエネリツク

三月八日(土)晴 朝久し振りにゆつくり寝てゐやうと思つてゐたが、結局七時半に起きてしまふ。晝食の後杉田の病院に行き例年通り花粉症の薬を貰ふ。他は特に予定もなく、此の春部長に昇格するS君の為に記念の色紙を揮毫す。また、よく尺八を吹いた。二尺一寸…

如道忌

三月二日(日)陰後晴 奈良から東福寺に移動し、十時前明暗寺に入る。坐禅衣に着替へ十一時より如道忌献奏始まる。余は八番目に流し鈴慕を吹く。音は出てゐたが、曙調子のH氏とは其の日の朝一度合せただけなので所々テムポが乱れて今一つの演奏となつた。また…

献奏

二月二十六日(水)晴 早朝家を出で午前中京都山科にて用談を済ます。午後も得意先に行く筈がキヤンセルとなり、自分ひとり山科驛に取り殘される。晝食の後京都驛に戻り其処から近鐡にて新田邊まで往き、徒歩酬恩庵に至る。一休寺の名で知られる一休宗純所縁の…

購入

二月二十二日(土)晴 十一時より一如庵にて尺八稽古。其の後白樂ねいろに行きニ尺一寸管購入代金を払ふ。煤竹の一尺八寸管がおまけに付いた他、煎茶道の茶托他諸々購ふ。花台がおまけにつく。店主夫妻と骨董談義で樂しい時を過ごした上に結構安くして貰つたや…

雪の中

二月十六日(日)晴、風強し 書道入浴の後雪の殘る道を慎重に歩みつつ驛に向かひ横濱経由やつと開通した東横線から地下鐡にて銀座に出で、註文した靴を受け取り晝食の後一如庵に赴く。如道會例會にて余は流し鈴慕を吹くも息續かずしどろもどろとなる。各自如道…