鯱鉾と一節切

三月四日(土)晴
朝食の後車で名古屋城に行く。東門近くに車を停め徒歩城内へ。流石に立派な石垣であり城内も広い。天守閣に登る。鯱鉾で有名ではあるが城の建築としては決して優美とは言えない。むしろ空襲で燃えた写真が印象的であった。展示を一巡して二の丸庭園跡を巡って出る。天守閣よりも現在建設中の本丸御殿が出来上がったら見てみたいと思う。それから市内を移動し東桜会館に至る。十二時半から一節切の催しがあり、講演の後演奏があった。尺八とは全く別の楽器という感じで、室町期的な音色が魅力である。総じて洋楽や現代曲を奏じたものは感心しないが、古曲は一瞬で時空を超えるような力がある。飯田勝利先生の「紫鈴法」や酒井松道先生の「地主之桜」は特に素晴らしかった。室町人の見た桜が現前し、いにしえの人の心が自分に宿ったような不思議な感じである。もちろん彼らが見た「桜」染井吉野などではなく、はかなくも美しい山桜である。私も一節切をやってみたくなった。それから名古屋を後にし大津に向かう。案外近くて一時間半程で浜大津駅近くのホテルに到着。小憩の後近くのおで湖なる、町家風古民家の店に入りおでんや芳春豚などを食す。芳春豚は初めて食べたが極めて美味なり。入浴して就寝。