城巡り

六月十七日(土)晴
朝八時前家を出で新横浜から新幹線、新大阪にて特急くろしおに乗り換え和歌山に至る。旅宿に荷を預け、銀平にて昼食の後バスにて市役所前へ。紅葉渓庭園を歩み御橋経由で郭内に入る。本丸御殿跡を望んだ後天守閣前の休憩所で天守閣を眺めながらアイスクリームを食して小憩。三月に尾張名古屋城に行き、五月に広島城を訪ねているので、今年三つ目の城である。三城とも空襲か原爆で消滅したため天守閣は戦後の再建で、外観はともかく鉄筋コンクリート作りである。今度名古屋は木造での再建が予定されているようだが、良い傾向である。ただ、名古屋城の外観は私の好みではない。広島城の大旅館風の造作に比べても和歌山城は小ぶりで地味だが悪くはないと思う。本当は平山城よりは山城、それも城跡や石垣だけ残った所の方が好きなのだが、都市部にはないので中々行けない。奈良の高取城などいつか必ず行ってみたいと思っている。ところで、天守閣内の展示では、名古屋や広島の方が工夫があって面白く見られた。江戸期の店先の再現などよくある手法だが、それなりに楽しい。鎧兜や槍や刀が並んでいても、そんなにじっくり見られるものではないからである。和歌山はもう少し工夫が欲しいところである。
城を出て県立博物館に赴く。「紀伊徳川家の家臣たちII」展を観る。上総一ノ宮藩主加納家が元は紀州藩士であったことを初めて知る。私が社史を書いている会社の実質二代目の社長が同藩の家老の家柄だったので、私にとっては思いがけず得た知識であった。五時の閉館まで居て、それから歩いて旅宿に帰る。途中に寄るつもりだった岡公園は工事中で陸奥宗光銅像は遠望するにとどまった。暫く休んだ後裏通りから更に路地を入ったカウンターだけの小料理屋万両に入り、春鹿で刺身、鱧、焼き蛤、穴子の握りなど食す。美味也。地元の常連客とも歓談、楽しい時間であった。