2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

娼館

二月二十五日(日)陰時々晴 ルイス・ブニュエル監督『昼顔』を有楽町にて観る。久しぶりに触覚を刺激するヨーロッパ映画を観た感じがする。若いころからベルイマンやフェリーニ、あるいはタルコフスキーといった、国こそ違え共通する感覚を持つシネアストの映…

酒場と小津の赤

二月十七日(土) まずは昨日フィルムセンターで観た『たそがれ酒場』から。内田吐夢監督で1955年の作品。戦前戦後のことを知れば知るほど、その頃のことをもっと知りたくて当時の映画を見たくなる。戦後十年、すでに占領は終わり、朝鮮戦争の特需も終わった時…

たたかう映画

二月十六日(金) 亀井文夫著『たたかう映画』読了。「日本の悲劇」の後、「上海」と「戰ふ兵隊」を観た。その話をしたら友人が岩波新書の亀井のこの本を貸してくれ、読み始めたら面白くて一気に読み終えた。見たばかりの三本の映画の背景や作者の意図が知れて…

苦い再会

二月十五日(木)晴 夕飯を食べた後街をほっつき歩いた。食事が足りなかったのか惣菜屋がやたらと目に入る。それにしても惣菜屋の多い街である。えびの天ぷらが並んでいて安いので買って食べようかとも思ったが、胸やけするに決まっているのでやめた。家に戻る…

日本の悲劇

二月十一日(日)晴時々陰 奇しくも建国記念の日に、亀井文夫の『日本の悲劇』を観た。『敗北を抱きしめて』で触れられていたのでどうしても見たくなりDVDを購入したものだ。これは亀井が戦後になって「主として戦時中に撮影されたフィルムを利用して、日本を…

戦中派のパトス

二月九日(土)陰後雨 渡辺清著『砕かれた神』読了。前々から気になっていた本であるが、『敗北を抱きしめて』の中で言及されているのを見て読みたくなった。アマゾンの古本は高額で諦めかけていたが、先日鎌倉の古本屋で運よく安いのを見つけて買って読んだも…

京都学派

二月六日(火)晴 吉川安著『化学者たちの京都学派―喜多源逸と日本の化学』を読み終えた。とても面白く読んだ。京都学派というとふつう西田幾多郎や田辺元などの京大哲学あるいは人文系の教授連の勢力範囲をさすことが多いのだが、本書では喜多源逸にはじまる…

洗脳者

二月五日(月) 一番好きなОという女の子と食事をしている。何度も楽しく食事をともにしてきたし、そろそろデートに誘おうと思うのだが、その都度何となくはぐらかされて来た。一度何かのはずみでその話になり、次第に彼女をマインド・コントロールしている人…

戦争責任

二月四日(日)晴 ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』読了。十年以上前の刊行だが、私にとってはきわめて有益で心に残る本であった。戦後の日本の姿について、これほどまで明確かつ幅広く掘り下げた類書を私は知らない。井上寿一の『終戦後史』も、これを読ん…

降板志願

二月三日(土)陰 バレエ「白鳥の湖」の主役を務めることになった。確かに、若いころ黒鳥役を踊った記憶はあるのだが、それもずいぶん昔のことである。逡巡する間に公演の前日になってしまった。公演といってももちろん素人バレエ団の発表会のようなものなのだ…