2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

四苦八苦

六月三十日(月)陰 熟々思ふに思春期の頃の余にとりて、文學とは社會や他者から逃れる為の手段に過ぎぬものではなかつたか。身の廻りの人間や同じ時空に生きてゐる人たちとの関りをとにかく厭ひ、此の世の孤独は生得と諦めて、僅かに過去の文人や詩人たちの殘…

閑中亂雑

六月二十八日(土)陰時々雨 久しく持たざる閑暇を得てさて思ひ寄せたることどもものさむとて、先日複寫せし文書など取り出ださむとすれども見つからず。用なきまま溜まりたる反古を捨てつつ探せどもさらに無し。疲れ果てて竟に筆とることなく止み侍りぬ。 夜…

版本寫本

六月二十五日(水)晴後陰時々雨 余の誕辰也。航空會社二社と銀行から祝のメール届く。 此処數日香道関係の調べ物のため版本や寫本の類を讀んでゐる。群書類従に収められた名香録や『五月雨日記』等である。香銘と其の典拠となる和歌の関係、更に其の香木の香…

山口昌男の再発見

六月十八日(水)陰後雨 山口昌男の名は知っていたし、学生の頃その手になる文化人類学や記号論の本も少しは読んでいた。ところが、その後不覚にも山口の著作活動に関して全く関心を持たずに過ごして来たのである。今回『内田魯庵山脈』を読んで括目し、現在著…

誕生日

六月十五日(日)晴 朝七時より蹴球世界杯伊太利對英吉利戦を観る。伊太利勝つ。九時車にて家人の實家に行く。晝過ぎ出で二時より如道會例會に出席。S田先輩より此の日乘復活したる後家人に就いての言及なく家庭不和等を心配せられたる旨承る。元より杞憂にて…

規則絶妙

六月十三日(金)晴 余は野球を愛する。其のルールや規定に於ける様々な絶妙といふべき按排に敬意すら抱いてゐる。例へばベース間の距離であり、投手と本塁の距離である。後者があと僅かでも短かつたり長かつたりすれば、現在の大方の變化球は意味がなくなるで…

急遽歸濱

六月十日(火)晴 朝目覚めるに痛み依然としてあり、左足を引き摺らねば歩行も叶はず。取り敢へずタクシーにて大阪支店に赴く。相談の結果午前中の用談は止むを得ずして出席し、其の後近くの整形外科にて診察を受くることになる。晝前診察及びヱ氏線検査の結果…

人災

六月九日(月)晴 出張にて山城國に赴き、午後香水市場概況につき得意先に對し説明を為す。無事終へて營業車にて山科驛まで送られ、余は扉を開け車を降りんとす。然るに營業のT内といふ若僧何を思つたか突然車を発進させ、地上に片足を降ろした余は荷物と倶に…

鎌倉行

六月四日(水)晴後陰 夜、崋山『遊相記』を讀む。文政四年に崋山が鎌倉から江の島に掛けて歩いた際の記録也。よく知る場所多く面白く讀む。

大江戸江戸明治

六月朔日(日)晴、暑し 午前大江戸骨董市に赴き、澤蟹の飾り物及び小さな木製の花台を購ふ。其れから上野に出で人混みの中、國立博物館に往く。新収品展示室にて是眞の水墨画を見る。其の他本館内を観覧し、没倫紹等賛一休和尚像、高村光雲作老猿等、美術史上…