大江戸江戸明治

六月朔日(日)晴、暑し
午前大江戸骨董市に赴き、澤蟹の飾り物及び小さな木製の花台を購ふ。其れから上野に出で人混みの中、國立博物館に往く。新収品展示室にて是眞の水墨画を見る。其の他本館内を観覧し、没倫紹等賛一休和尚像、高村光雲作老猿等、美術史上名高き秀品を見る。
夜、崋山の日記を讀む。又、金原宏行てふ人の「崋山の書」なる一文を讀むに、崋山は書に於いて黄庭堅の影響を強く受けるとの事にて、余は一層崋山贔屓となる。余は骨董市場に出回る事の多い頼山陽の書を好まず。然るにもし崋山の書幅など出物があれば欲しきもの也。