書を見る

三月十六日(金)晴後陰
朝五時五十分起床。東京経由京葉線にて海浜幕張に赴き、幕張メツセで開催中の某企画を一巡の後職場のT氏と東京に戻り、昼食を倶に取つた後袂を別ち余は鶯谷に向かふ。北口にて待つ事小一時間にてN子来たり、徒歩書道美術館に往く。王羲之の拓本他黄庭堅の拓本もあり。王羲之顔真卿、黄庭堅を一時に見られるは稀也。本館石碑等も見た後受付にて王羲之『蘭亭序』拓本複製と顔真卿『自書告身帖』カラー原寸複製を購ふ。其の後国立博物館まで歩く。国宝室にて藤原行成『白氏詩巻』の優美さを愉しみ、浜松図屏風や国宝黒漆打刀に足を止めながら蕪村や光琳『竹梅図屏風』に唸り、そして伊藤仁斎の書巻に至つて驚嘆す。此れが余の仁斎の書を見る初めての機会なるも、全く余の趣味に合致せり。行成の和様とは画然と趣きを異にする中国風の書法にて実に清々しく凛としたる書風也。専門家の意見は知らねど余には黄庭堅の影響あるやうにも感ず。亦余の好む書家を発見せしことを喜ぶ。
其の後藝大の横を抜け骨董店など覗きながら谷中に至る途上小公園あり。見れば岡倉天心記念公園と看板にあれば入りて見るに小さな六角堂があり中に天心像を収む。周囲の写真を撮り、旧居並びに初期美術院時代を偲ぶ。


谷中銀座に至り古書肆信天翁に立ち寄り数書を購ふ。N子は隣の和装店に行き、帯及び帯留めを買ふ。日暮里に至る途中何軒か面白さうな店を覗いてから京浜東北線にて帰宅。