2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

如月晦日の寒さ恐るべし

二月晦日(月)雨、寒し。会社帰りに杉田の林医院に寄り花粉症の薬を出して貰ふ。精神の安定により免疫力が正常となつて克服したかと思つてゐたが、発症を少し遅らせただけのやうだ。鼻がつまることはないが、目が痒くなりくしやみばかりするやうになるのであ…

梅花三昧

二月二十六日(土)晴 朝から上野に向ひ九時半の開館とともに東京国立博物館に入り「仏教伝来の道」特別展を観る。平山郁夫が奈良薬師寺に玄奘三蔵の足跡を描いた「大唐西域壁画」と平山が行つた文化財保護の活動に因む佛像や壁画を集めて展示したものである。…

少年叛乱軍

帝政ロシアの城館のやうな建物に一人の美青年が入つて行く。城館の主人は反皇帝派の大貴族であり革命の黒幕である。青年は帝政転覆のための大仕事を成し遂げて帰つて来たらしく、報告を済ませると大胆にも普段は誰にも会ふことのない大貴族との面会を求める…

音二題

朝のまだ目の覚めきらぬまどろみの中で、隣家の雨戸を開ける音を聞く。シヤツター式の上下に開閉するタイプのもので、蛇腹式に巻き上げるとバラバラと音がする。隣接する建売四軒は同じ業者が作つたために、拙宅も含め同じもので、自分で開け閉めすると近す…

夕食後居間の明りを落とし、シヨパンの「別れの曲」を聴く。繰り返し繰り返し。

南師のこと

赤坂の豊川稲荷で開かれた「仏教・私流」といふ催しに参加。講ずるのは南直哉(じきさい)師、曹洞宗の僧侶である。其の名を知つたのはスマナサーラ師との対談『出家の覚悟』を読んでからだが、其の時の印象ははつきり言つてスマナサーラ師の引き立て役くらゐ…

カタカナノヒビキ

日経新聞の連載「私の履歴書」は今画家の安野光雅である。其の中で安野が戦後間もない頃のある出来事を書いてゐる。バス停でバスを待つてゐる時に「バスキタカ」と話しかけてきた朝鮮人の老女に、安野が片言の朝鮮語で返事をすると喜んで、「ヒトリダマリノ…

出家か学問か

早くに家を出るつもりが結局十一時過ぎになつてしまつた。其れでも乗り継ぎが良く十二時過ぎには御茶ノ水に着いた。駅前の中華屋で炒飯を食べた後古本屋を一軒覗き、其れから聖橋を渡つて湯島聖堂に入る。場所は知つてゐたが訪ねるのは初めてである。昌平坂…

渡り廊下

大きな寺の白壁に沿つて歩いてゆくといつの間にか建物の中に入り、大学の研究室の一室のやうなところにわたしは居る。わりに広い部屋の奥に教授の机、手前に丸テーブルがあり、わたしは壁面の書棚から本を取り出して見てゐる。他に二人同行の者もゐて、暫く…

二月十七日

米書肆ボーターズ倒産の報に接す。余、在米中家の近くに其の支店舗あれば度々覗くことあり。俄に其の店内の様子やら駐車場の様など鮮明に思ひ出され、当時の生活を想ひ返すに早や七年の歳月の過ぐるを知る。其の間の身辺境遇の流転に改めて転た悵然たり。 十…

二月十四日(月)陰後雨後雪

定時退社、駅まで歩く途中にあるスーパーで歯磨き粉を買ふ。いつも花王のピユオーラを使つてゐて、今回も同じものを買つたつもりだつたが、帰つて見てみると今までのクリーンミントではなくワイルドミントを買つてしまつた。大失敗。フレーバーが違ふとかう…

好き嫌ひ

食べ物に無頓着なこともあつて、殆ど好き嫌ひはない。辛いものやにんにくは胸焼けするので苦手といふだけで少量なら好んで食べるし、余程のゲテモノでない限りは拒絶はしない。そのせゐか、いい大人のくせに好き嫌ひが激しく、これは食べられない、あれは駄…

香料の話題

パーリ語による上座部經典、所謂原始佛典である長部經典を第一經から読み始めた。もちろん原文ではなく翻訳だが、それでも直接釈迦の説法を聞くやうな喜びを感じるから不思議である。仏教史を少し齧つた後では大乗佛教の經典を佛陀の教へとはなかなか素直に…

少欲知足

昨日銀座で得意先の方々とわたしの会社の営業とで会食があつた。和食のコースで、普段から粗食にしてゐるわたしにはとても食べ切れなかつた。同席した人々は酒もたくさん呑み、そして料理も平らげてゐた。もともとわたしは胃腸が弱い方で食べ過ぎると覿面に…

何といふ事もない休日

二月六日(日)晴 洗濯朝食の後車で外出。まず図書館に行き予約してゐた長部經典と長阿含經の翻訳本を借りる。其れから藤沢遊行寺の骨董市に往く。今回が二度目だが、朝のうちの方が人出が多いやうだ。小一時間見て廻るが目ぼしいものなし。家の近くまで戻り、…

柏屋の煎餅

二月五日(土) 晴 比較的暖かい一日であつた。九時より一如庵にて尺八稽古。今年の如道忌は布袋軒鈴慕を後輩の坂井と吹くことになつた。また、前日夜には二月堂修二会の内陣見学もご一緒させて戴くことになり楽しみである。 十時に辞して一茶を喫した後地下鉄…

両極端

此の寒い時期、朝の通勤で歩く足もつい早くなりがちである。駅から会社までの約一キロ半の道のりを毎日歩いてゐるが、今朝終に新記録を達成した。電車が遅れていつもより一本後の電車だったので急いだのは事実だが、駅改札から会社正門まで十二分で着いてし…

徳田のこと

吉祥寺か仙川の本屋にわたしは入らうとしてゐる。品揃へが中途半端でどうせ欲しい本など置いてゐないだらうと馬鹿にしたやうな気分である。入口のところで、大学のサークルの先輩で最近何度か会ふ機会のあつたМさんにばつたり出会ひ、わたしが会ふときは続く…