何といふ事もない休日

二月六日(日)晴
洗濯朝食の後車で外出。まず図書館に行き予約してゐた長部經典と長阿含經の翻訳本を借りる。其れから藤沢遊行寺の骨董市に往く。今回が二度目だが、朝のうちの方が人出が多いやうだ。小一時間見て廻るが目ぼしいものなし。家の近くまで戻り、クリーニング屋に寄り、スタンドで灯油を購ひ、スーパーで米や食物を買つて帰る。昼食の後再び車で港南台のデイーラーに出掛ける。此の前車検を終へたばかりなのに、リコールが掛かつて無料修理をするといふのである。車を置き、余は其の儘散歩に出る。昨日同様暖かい。環状三号線沿ひには外車のデイーラーが幾つか新しく出来た。何度か買つたことのあるゴルフ用品店がアウデイになつてゐた。後で知つたのだが其処にあつたシントミゴルフは会社そのものが倒産したらしい。
洋光台方面に歩く。今の家に越す前は洋光台四丁目に住んでゐた。今度の二月十一日で丸三年になる。其のうち後の二年はひとり住まひである。懐かしい洋光台。幸せだつたあの頃を思ひ出すと今でも目が潤むけれど、今はすべてに納得して穏やかに日々を送れるまでになつた。支へてくれた多くの人々に感謝するとともに、佛法に出会へた僥倖を思ふ。
駅前通りの大嫌ひなブツクオフに入る。暇つぶしになると思つたのだが、店員の若い女の鼻にかかつてさらに音がガサツに割れて響くといふ耳障りな声でガナリたてるアナウンスが喧騒くて仕方がない。セールで新書は全部百五円、文庫も上限二百五十円といふお買ひ徳なのだが見事なまでに読みたいと思ふ本がない。入つた自分が馬鹿だつたのである。人によつては掘り出し物があつて良いといふ人もゐるが、余にとりては店員の態度も品揃へもすべて感心しない。店に入つても出ても、いらつしやいませやありがたうございましたなどと言はれることのない昔ながらの古本屋の方が遥かに落ち着く。
再び環状線方面に戻り、洋光台南公園で少年野球の試合をやつてゐたので見る。実力の差は歴然としてをり、弱い方のチームはエラーしてばかり。しかし、強い方のチームの監督だかコーチだかが、勝つてゐるのに選手のプレーにいちいち怒鳴り散らすのでとても嫌な気分になる。指導といふ範疇を超えてゐる。まともな大人とは思へないものの言ひやうなのだ。
三時半にデイーラーに戻り、珈琲一杯飲んでから家に帰る。洗濯物を取り込んでから尺八を二時間吹く。如何に強く大きな音を出すかに集中して練習。これは神先生より、今度如道忌で吹く鈴慕の眼目は音の強さであると聞いたからで、今日はたまたま調子がよかつただけかも知れぬが、今までにない大きな音が出せるやうになつた。まだ安定はしないがコツは摑んだやうな気がする。
夕方ジムに行くつもりなるも結局行かず。随分長いことさぼつてゐる。寒いとだうしても面倒になるのである。粗食だから太る心配はないが、たまには体を動かしたいとは思ふ。夜読書。通信を書かうとするも気が乗らない。余りに佛教のことばかりだと読者が退屈するだらうと思ふのだが、他のことは書く気が起こらないのである。