《「間(あいだ)」の抜けた映画―エリセとアナの四十年》

映画が始まると映画の冒頭部分が映しだされ、そして、映画の最後になると映画の結末が流されていく。…なんとわかりきったことをくどく言うと思うだろうか。そうではないのだ。最初の「映画」はヴィクトル・エリセ監督による『瞳をとじて』であり、冒頭と結末…

映画の季節

突然ながら、映画の季節が到来した。 もちろん、私にとっての、である。 何を観て何を感じたかは追々綴るとして、改めて私が震撼した映画監督をあれこれ思い出してみた。そして、その中から自然に私の中のトップ10が明らかになった。 言っておくが私は熱心な…

今年の紅葉 2

もう一枚。同じ依水園。 依水園紅葉

今年の紅葉

奈良に行って来た。 紅葉が見ごろで美しい景色に何度も出会った。適度に混んではいるが、京都の狂乱にくらべれば、遥かに心地よく落ち着いて景色を楽しめる。写真は依水園で撮った一枚。紅葉は見事なのに小春日和で暖かい、最高な一日であった。 奈良依水園…

氷河

再びスイスの山。氷河のように見えるが、よくわからない。山の名も知らない。ただ、何となく気に入ってiPadの画面に使っている。 氷河

メディシスの泉

リュクサンブール公園にある、メディシスの泉である。 荷風も藤村も、この水辺のベンチに座ってパリに浸った。かくいう私も、休日になるとここに座ることが多かった。そして、本を読もうと思うのだが、鉄の椅子が冷たく、またすぐに尻が痛くなってさっさと退…

安達太良山

見えているのは安達太良山。二本松城の天守のあった高台からの眺めである。 見晴らしという点では実に素晴らしい城跡である。 坂道を苦労して登って、本当に良かったと思える城跡はそう多くはないが、ここはその数少ない一例と言っていいだろう。また季節を…

セルビアの教会

タイトルの通り。 良くも悪くもキリスト教的である。 教会の天井

紅葉 3

江戸城二の丸跡の紅葉である。 江戸城がどこにあるのか知らない人、皇居が元江戸城だと思っている人が結構いる。天皇家は江戸城を間借りするにあたって、さすがに本丸は遠慮して西の丸に住居を定めた。おかけで今も本丸跡やこの二の丸には入ることができる。…

紅葉 2

白河の翠楽苑の紅葉。2年前の秋である。旅行に行けることがこんなにも嬉しいものかと思えた、コロナ禍の中の秋である。 紅葉

紅葉シリーズ 1

秋も深まり急に寒さを感じるようになった。 この季節らしく過去の紅葉の写真を幾つか載せていくことにしたい。 まず下の写真は伊豆の韮山で撮ったものである。昨年、江川英龍に興味を持って韮山代官屋敷を訪ねた際に、近くにある寺の銀杏の紅葉が美しくて撮…

グラースの街並み

1911年に甲斐荘楠香が下宿から研修先であるスラン社まで通ったと思われる道筋を2015年に辿ったことがある。建物も含めその頃とほとんど変わっていないだろうと思われる街並みに胸が一杯になった。この路地を通う一歩一歩が、日本の香料産業誕生のための歩み…

お城

もう8年前のことになる。ブルゴーニュ地方にある知人の別荘に泊めて貰ったことがある。シャルレのステーキとシャンベルタンのワインという極上の食事を振舞われた翌日、日仏ハーフの息子さんに最寄りの駅まで車で送って貰ったのだが、その途中に見つけて車を…

スイス

スイスは物価が驚くほど高いことしか記憶にない。 この写真も、何の山を撮ったのかよくわからない。 でもまあ、奇麗な景色ではある。 山

美術学校

パリにあるÉcole Nationale Supérieure des Beaux-Arts、すなわち国立高等美術学校、日本の芸大のようなものである。美術を学ぶのであればその場所も美しくあらねばならないという、至極まっとうな理念のもと建てられたと思われる実に立派な建物である。ただ…

華麗なる天井

ポルトガルのリスボン近郊シントラにある別荘のひとつの天井。 実に美しい。 アラベスク

カラー写真シリーズ

「昭和の残像」を見に来てくれる人が多い(このブログは2~3人の固定客しかいない)のに気をよくして、ここでも写真を載せていくことにした。ただし、こちらはカラーの、単に自分が美しいとか面白いと思うだけの写真である。 第一回はこの夏に行った平城京の…

新しい試み

同じはてなで新たなブログを始めた。 photo essay のようなもの。 「昭和の残像」 kaoliachannel.hatenablog.com 覗いて貰えればありがたい。

捨てるための読書

蔵書の整理をはじめた。昨年に引きつづき、本を大量に処分(売却ないし廃棄)するのである。今回は車に積める量を超えたので、出張引き取りに来て貰うことにした。電話で問い合わせること四件目でやっと来て貰う古書肆が決まった。最初の三件は対応が覚束な…

ふたつの景色

車でヨーロッパの国々を廻っている。ベルギーやオランダ辺りだろう。駅に行く用事があって進行方向の道路右側を歩いて行くと途中で歩道がなくなり、横断歩道もないところで道の反対に渡らなくてはならない。ひどいものである。何とか車の途切れるのを待って…

ジュルナリスト

山間の道をずっと奥に進み、あるジャーナリストの家を訪ねる。小太りのそのジャーナリストにわたしは「先生」と呼びかけて、最近彼が書いたルポの感想を述べ、取材のしかたや執筆の姿勢などについて質問している。彼が誠実なジャーナリストであることがわか…

街の色彩

穴八幡の交差点から地下鉄早稲田駅に向かって歩いているとき、突然目の前の景色が色彩を増し、周囲の建物や店、看板やショーウィンドウなどが鮮明に見え始めた。驚いて周りを見回すと、それは1980年代の早稲田通りそのものだった。その途端にわたしは思い出…

断絶か淘汰か―家元制の未来

コロナ禍により、わたしたちの生活や社会、慣習などに大きな変化が起こると言われて久しい。たしかに、時差出勤や在宅勤務が常態化し、家にいる時間が増えた一方で、やはりひとに会う機会は劇的に減った。しかも、人前では常にマスクを着用するので、鼻と口…

日本語からの哲学

『日本語からの哲学』という本【1】を読んだ。 「です・ます」調で書いた論文が査読で撥ねられたことに端を発して、なぜ論文を「です・ます」調で書いてはいけないのかという問いから始まった思索の成果である。それだけ聞くと、世間的常識に対する反感やル…

和こりごり

日曜はお初香であった。コロナ明けでもあるし、依頼された原稿の締め切りも迫っているしで、本当は行きたくなかったのだが、前々から決まっていたことだから仕方がない。何より着物を着るのが面倒だし、袴を穿くのも久しぶりで心もとない。香席で筆者をする…

コロナ、わたしの場合-2-

回復期の後遺症としては、頭痛(後頭部や脳幹に感ずる鈍痛)や肺や気管支に痰が詰まったような気持ち悪さ、食欲不振、眠気などがある。夜中に目を覚ました際に頭痛を感じるし、朝起きる時にも吐き気に似た気持ちの悪さを胸部に感じる。頭の働きも鈍く、本を…

コロナ、わたしの場合-1-

せっかくコロナに罹ったので、罹患中の状況や症状、そして後遺症などについて書き記しておくことにしたい。数ある中のひとつのサンプルに過ぎないが、何かの足しにはなるかも知れない。 まず、ことは12月20日に始まった。朝会社に行くため駅に向かい、少し早…

ローマ帝国属州サッカー選手権

FIFAワールドカップがアルゼンチンの優勝で幕を閉じた。決勝戦のみリアルタイムでPK戦まで見て翌日睡眠不足となり、火曜の朝寒くて風邪気味となって翌日休んで抗原検査をしたらコロナ陽性になってしまった。それから一週間余、すでに陰性にはなっているが、…

キリスト教批判序説

『ユリアヌスの信仰世界』が伝える、ユリアヌスのキリスト教徒批判をいくつか紹介したい。 まず、「洗礼」が挙げられる。罪の穢れを一度の洗礼で清めることの効力を疑うのである。入信への象徴儀礼としてではなく、洗礼の実際的な効果を疑問視する訳だが、裸…

ユリアヌスの願い

ユリアヌス帝が復興しようとしたのは、我々がギリシア・ローマの神話の神々として知るユーピテルやアポロンといった神に捧げる神殿と、そこで行われる祭祀や神託などである。コンスタンティヌス帝によるキリスト教の公認と皇室資産のキリスト教会への寄付か…