着物・着るもの・気になるモノ

和こりごり

日曜はお初香であった。コロナ明けでもあるし、依頼された原稿の締め切りも迫っているしで、本当は行きたくなかったのだが、前々から決まっていたことだから仕方がない。何より着物を着るのが面倒だし、袴を穿くのも久しぶりで心もとない。香席で筆者をする…

盛りもの

11月3日、家内の習っている流派の煎茶道の茶会があり出掛けてきた。久しぶりに着物を着ての久しぶりの茶会である。グランドプリンス新高輪の離れにある和室で小間の玉露、煎茶、大寄せでの酒席など三席に入る。煎茶道では床に盛物と呼ばれる飾り物を置く。花…

茶の湯の危機

今回のコロナ禍で思いもかけない形で影響を受けた職種や職業は少なくない。今までの生活が、人の移動の自由や密な空間、人と人との接触という、今や当たり前のことでなくなってしまったことを前提として成り立っていたことに、現代社会としては初めて気づか…

微熱譫妄

A型インフルエンザに罹った。一昨日の夜から具合が悪くなり、昨日午前に医者に行って判明した。忙しい時期で大事な打ち合わせもあったのだが、火曜までは出社できない。インフルエンザは久しぶりのことで、やはり年末からずっと根を詰めていたせいもあるだろ…

雅楽と茶会

十一月十三日(日)晴 昨日土曜は三宅坂国立劇場に赴き『創造する雅楽』を聴く。芝祐靖作曲の雅楽曲「招杜羅紫苑」と「雉門松濤楽」の二曲也。六年前に初めて大阪で雅楽を聴いた時のことはこの日乘の2010.10.29の項に書いた。正直言って退屈したのである。今回…

淺草早稲田

十月朔日(土)陰 朝九時過ぎ家人と倶に家を出づ。新橋から地下鐡に乘り換へようとすると、SL廣場にて古本市開催中なれば一巡りして杉浦明平『崋山探索』を得る。銀座線で淺草に赴き、雷門の並木藪にて蕎麦を食してから伝法院通りの辻屋本店に行く。黒紋付き…

彫刻と新内

三月二十七日(日)陰時々晴 久しぶりに着物で家人と外出。日暮里まで行き、朝倉彫塑舘を訪ねる。初めてだが彫刻のみならず書斎の天井までの書棚やその蔵書、池に石を配した庭、大小の和室の造作の工夫や飾り棚など見どころ多く、思ひの他面白かつた。入口で履…

結婚披露宴

十月晦日(土)陰 會社の同僚で友人のN君の結婚披露宴に出る。余は先日誂へし茶色のお召に銀座で買つた帯を締めて台場に赴く。イケメンのN君と美しい奥様の、非の打ち所のないカツプルである。余興や祝辞等も控へめながら、二人の幸せを誰もが確信するやうな、…

文樂谷中

五月二十三日(土)晴 喉の痛みは殘るが昨日より調子が良いので、塩澤の一重の着物を着て車で國立劇場へ行く。文樂五月公演、吉田玉男襲名披露公演を觀る。口上は傳統藝能らしい語り口で面白く聞く。三時半に終り車で谷中に移動して車を停め散策。路地の片手間…

冷遇と厚遇

三月七日(土)陰後雨 八時過ぎ六階にある日本料理の店に朝食に行く。二仟五佰圓もする朝定食である。今囘は招待されてゐるから良いが自分では絶對に行かないだらう。隣の席では一目で不倫旅行と分かる、初老の男性と若作りした綺麗目の中年女性が朝からビール…

京都満喫

十月四日(土)陰 九時過ぎ宿を出で徒歩御池通りから小川通りを上がつたМ染工にお邪魔する。匂ひ關係で懇意にして戴いてゐるT氏の御令妹の婚家にて、友禅その他各種染物を生業とする老舗也。T氏のご紹介により初めて訪問するものにて、着物好きの余等に江戸…

小津好み

三月二十一日(金)陰時々晴 朝書道をして朝食方々高校野球開会式及び第一試合を観た後晝過ぎ和服にて家人と外出。鎌倉驛より徒歩鎌倉文学館に至る。小津安二郎生誕百十年の所蔵品展を観る。小津の遺愛の品々を見る。スーツや着物、スヱーターなどあり。又手帳…

桐生伊香保

三月十九日(水)陰時々晴 有給休暇消化促進の為會社を休み家人とドライヴに出づ。首都高途中混雑もあり、晝前桐生織物記念館に着く。桐生はかつて西の西陣と並び称される程の絹織物の産地にて、織物産業の一端に触れん事を期して赴く。街並みは普通の地方都市…

横櫛と宝石

三月十五日(土)晴 余は縮緬の縞の着物に茶の帯、家人は大島に刺繍の入つた博多帯にて九時半出発。電車を乘り繼ぎ半蔵門に至り、徒歩國立劇場に十一時過ぎ到着。チケツトセンターにてチケツトを発券して大劇場に入る。晝食を早めにとり、十二時より三月歌舞伎…

ドライヴ

十二月二十三日(月)陰 家人と車にて結城に往く。出発して二時間強の後、昼過ぎに着いてまず小倉商店の郷土館を訪ぬる。地機織機や紬に關する資料の展示があり、それを見て廻る。若旦那は急用にて不在なれど、話は通じてゐたらしく社員らしき人が詳しく説明し…

和の日

十二月二十一日(土)晴 家人は藍染の紬、余も灰色の紬のアンサンブルにて外出。電車を乘り繼ぎ淺草に至る。蕎麦を食したる後観音様にお参り。本堂前にて観光客に一緒に寫眞を撮つてくれと頼まれちょつと躊躇ふがモンゴルからと聞いて快諾す。着物で出掛けると…

着物で稽古

十二月八日(日)陰晴定まらず 七時に起床し、家人と着物で出かける。家人は草木染の小紋、余はお召しに袴。目黒区八雲の越後屋さん宅を訪ね、色見本を見て濃いグレーのシルクのインバネス・コートを註文する。越後屋さんは店舗を持たずに呉服を扱う、昔でいう…

茶會と稽古

十月二十七日(日)晴 三日續けて夫婦で着物を着て車で上大岡にある神奈川県戦没者慰霊堂に往く。すぐ前のコインパーキングに停め、平和祈念館にて開かれる戦没者慰霊献茶に伴ふ茶會に参加。まづは東安部流の煎茶席に入る。家人の煎茶道の先生と一緒なので心強…

着物と酒

十月二十六日(土)雨後陰 雨が止めば早くに家を出でて淺草を歩むつもりなれど中々上りさうになく、待つうち昼過ぎになつてやつと明るくなり始め、天氣豫報も颱風の逸れたる事を告げれば竟に着物を着け始む。家人は昨日と同じ藍染、余は今日はお召に羽織。其れ…

十月の予定

十月五日(土)雨時々陰 終日家に在り、よくものを書いた。朝半紙に向かって習字の後原稿を一本仕上げ通信も終わり、ゲラのチェックも済ました。嶺庵の掛軸を象山の書に換え、ついでに飾り棚の模様替えもした。充実した一日であった。これでとりあえず締切りの…

免許証

六月二十三日(日)晴 朝から二俣川の自動車運転免許試験場に赴く。二時間の講習を受けて正午過ぎ新しい免許証を受け取つて横濱に戻つて家人と落ち合ひ、高島屋で千家十職の黒田正玄展を見る。添茶席の義母を訪ね一服の後鶴見の古着屋に行き余は浴衣と帯、家人…

京初日

六月十五日(土)陰後雨後陰 新横濱八時半發ののぞみにて京都に向かふ。十時半着、直ちに宿泊先の新都ホテルに赴き荷物を預け、再び京都驛に戻つて奈良線にて黄檗に至る。萬福寺まで歩き門前の茶店にて蕎麦を食したる後萬福寺拝観。余は二度目なれど家人は初め…

袴、茶、鮎、黒眼鏡

六月八日(土)晴 朝臨書、入浴の後余のみ着物に着替へて家人と車で家を出づ。まづガソリンスタンドで洗車してからクリーニング屋に行き冬物を出す。其れから大船まで往き、コインパーキングに車を停めて電車で鎌倉に向かふ。此の日は紬の一重に黒に近い茶の帯…

大江戸・淺草

六月二日(日)晴 少し前まで天氣豫報では雨模様の筈が晴間が差し豫報にも降雨の可能性低ければ金曜に届きし結城紬の着物を着て家人と外出。まづ有樂町大江戸骨董市に向かふ。黒檀の印矩、風鎮、煤竹の茶杓、手拭等を購ふ。其れから小洞天にて晝食。日比谷まで…

夜寒

五月三十一日(金)陰 定時退社後六時半より大船の居酒屋にて會社の同僚三名と飲む。嘗ては一緒に飲んで喋れば樂しいと思へた人々ではあるが、先輩後輩の惡口と過去の馬鹿話に終始する會話は今の余には全く面白いと思へない。しかも料理は不味く十時過ぎ散会し…

着物・香・水茄子

五月十二日(日)晴 朝日課の黄庭堅「范滂傳」臨書の後家人と家を出で目黒區八雲の越後屋を訪ね、先日來仕立てに出したる紬の一重着物の仕上げを確かめ、其れに合ふ絽の羽織を見立てて仕立てを依頼す。五月末の仕上がりといふ。文樂観劇には間に合はず。昼食の…

百合根きんとん 

十二月九日(日)晴 茶之湯稽古。山里棚にて薄茶濃茶各一囘点前を為す。濃茶の主菓子は若柳製百合根きんとん。晝食には岳母の手になる粕汁を食す。鮭の風味も良くなり極めて美味なり。社中の門弟皆お代りをして賞味す。夕刻呉服商越後屋さん來り、先日求めし…

着物と香木 

十一月十一日(日)陰後雨 夕方より雨の予報なれど着物にて家人と家を出で京濱東北線にて浜松町に到る。徒歩都立産業貿易センターに赴き四階にて開催中のきもの呉盟会の奉仕市に足を運ぶ。受付にて案内状を出すと、其れを送り寄したる人形町錦やのK氏が呼ば…

秋日晴雨 

十一月九日(金)陰時々細雨 八時半前宿を出で御池通りを寺町まで歩み喫茶店にてモーニングの朝餉。其の後ホテルオークラの裏手高瀬川沿ひにある廣誠院に赴く。秋の特別公開にて今囘初めて一般の観覧を許すと云ふ。但し由緒ある古寺にはあらで、薩州出身の政…

出張二日目 

十一月八日(木)晴 七時過ぎ起床。朝餉の後家人と宿を發ち桜橋交差点にて袂を別つ。家人は電車で京都に向ひ余は徒歩堂島の大阪支店に赴く。十時營業のM氏運轉の車にて、研究N氏と三人で奈良の得意先O社に往く。先方担当課長と面談。中華の晝食を取った後…