和の日

十二月二十一日(土)晴
家人は藍染の紬、余も灰色の紬のアンサンブルにて外出。電車を乘り繼ぎ淺草に至る。蕎麦を食したる後観音様にお参り。本堂前にて観光客に一緒に寫眞を撮つてくれと頼まれちょつと躊躇ふがモンゴルからと聞いて快諾す。着物で出掛けるとよく海外からの観光客に寫眞を頼まれるのである。京都や鎌倉でもさういふことがあつた。福地櫻痴を始めとして喜劇人の碑など境内の石碑を見て廻つた後、和装関係の店を幾つか見て廻る。偶々入つた骨董屋に尺八あり。聞けば五千圓といふ。銘もなき古ぼけた竹なるも吹けば一應鳴りたれば、安くもあり小遣ひにて購ふこととす。またトラヤ帽子店ではボルサリーノの帽子用刷子を購ふ。中折れの手入れに必要なものなればなり。
其の後三時半より西淺草会館にて辻屋本店主催和装塾に参會。此の日は結城紬に関する話で、結城より産地問屋の小倉商店若旦那が來會。反物にも触れ、また若旦那と話もして更に結城紬への興味が増す。元々此の連休中に結城を訪ねる積りなれば、現地で訪ねるべき処など聞く。五時半からの懇親會でも初めて会ふ人々とも着物の話題にてすぐに打ち解け樂しい時間を過ごす。八時過ぎ辞して歸途に就く。