2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

同仁斎と櫻谷

十月三十一日(木)陰 午前中京都市内で用談の後午後の訪問が先方の都合で無くなつたので、銀閣寺を訪ねることとす。東求堂公開中なれば余は初めて拝観す。境内修學旅行の生徒や外國人などで賑ふものの、拝観料仟圓が効いてゐるのか、二十分毎の案内附きで東求…

銅駝と難波

十月三十日(水)晴 早めに家を出で新幹線にて京都へ往く。時間があつたので旧京都舎密局跡地を訪ねる。現在は銅駝美術工藝高等學校にて壁面に由来を記す看板有り。遥かに明治の昔を偲んで鴨川沿ひを歩き、三条より京阪に乘り京橋で環状線に乘り換へて森之宮に…

茶會と稽古

十月二十七日(日)晴 三日續けて夫婦で着物を着て車で上大岡にある神奈川県戦没者慰霊堂に往く。すぐ前のコインパーキングに停め、平和祈念館にて開かれる戦没者慰霊献茶に伴ふ茶會に参加。まづは東安部流の煎茶席に入る。家人の煎茶道の先生と一緒なので心強…

着物と酒

十月二十六日(土)雨後陰 雨が止めば早くに家を出でて淺草を歩むつもりなれど中々上りさうになく、待つうち昼過ぎになつてやつと明るくなり始め、天氣豫報も颱風の逸れたる事を告げれば竟に着物を着け始む。家人は昨日と同じ藍染、余は今日はお召に羽織。其れ…

極上の一夜

十月二十五日(金)陰後雨 半休して午後家に帰る。眠け強く一時間弱寝てから起きて着物に着替え、家人が帯を結び直すなど予定より遅くなったが三時過ぎ出発。藤沢より小田急に乗るも電車の連絡悪くさらに予定より遅く、五時半に豪徳寺着。雨の中徒歩ISIS本拠地…

優勝

十月二十一日(月)晴後陰 此の日樂天がパシフイツク・リーグ優勝を果たす。樂天も三木谷も星野も大嫌ひだが、東北のチームといふこともあり、田中や嶋など好きな選手も居るので喜ばしい事である。それにしても今年のマー君の活躍ぶりは、マンガでも今では流石…

雨中例會

十月二十日(日)雨 雨の中一升瓶と二尺三寸管を提げて一如庵に赴く。來月の虚無僧研究會にて如道會として布袋軒鈴慕を吹くことになる。四時過ぎより例の如くに酒席となり、持参の黒牛を呑む。そのせゐかいつもより呑み過ぎて酔ひが廻る。六時過ぎ如覚や諸先輩…

茶事、新内とおでん

十月十九日(土)陰時々雨 此の日は着物にて出掛ける予定なるも天氣豫報頻りに雨を告げれば、迷つた末竟に洋服にて出づ。九時半町田の家人の實家に行き、まづ余が中置の点前で薄茶を点て、門人來りて稽古の間余は学会誌の原稿校正を為す。また、午前中呉服屋の…

痛飲

十月十七日(木) 六時より藤沢昇久にてK氏と飲む。おから、焼き牡蠣、さんま塩焼き等旨し。生ビールの後銀盤を二人で五合、それからバー・ベルーガに場所を移してウヰスキー二杯飲む。最近では澤山飲んだ方で、流石にかなり酔ふ。K氏は余の上司なるも酒の席…

茶話會

十月十四日(月)晴 六時半起床、近くの川沿ひの道を薄を求めに歩くも姿良きもの少なし。南天の葉の少し色づきたる、姿良きものを得て歸り、まづは床の花を生ける。岳母より昨日杜鵑、藤袴始め吾亦紅など幾つかの茶花を頂戴したのでそれと合せることにするも、…

黄檗の寺

十月十三日(日)晴 車にて岳母、家人とともに小田原は入生田に在る黄檗宗の紹太寺に往く。途中道路の澁滞甚だしきものあり。煎茶道東阿部流の茶會に参席。外では虚無僧姿の五人ばかりが尺八を吹奏するのに出くはす。珍しき事也。松琴楼にて鰻重を遅い晝食とし…

明清と茶器

十月十二日(土)晴 十一時より一如庵にて尺八稽古。辞して會津八一記念博物館に赴き、明清の書畫を観る。李鴻章、徐世昌の他犬養木堂の書もあり。一朝菴にて蕎麦を食したる後歸途に就き、歸宅後家人と倶にその煎茶道を習ふところの先生宅に車で往き、東阿部流…

カタカナガキキラヒダ

十月十一日(金)晴 映畫のタイトルやバンドの名前、其れから廣告のコピー等で、外來語を表記するのではなく普通の日本語文を片仮名で書くものをたまに見かける。余はあれが堪らなく嫌ひである。アカルイミライだのツナガルチカラだのといふ文字列を見ると吐き…

終電

十月十日(木)陰 御徒町のような街の路地を曲がった雑居ビルの地下へと家人の導きで降りて行くと、そこは思いがけず劇場になっていて、東京ガールズコレクションを思いっきり安っぽくしたようなファッションショーをやっている。席にはその座席の値段が書かれ…

遅刻夢−或いは夢中

十月九日(水)晴 学校に行く支度をしている。家はマンションの一階だが、高台にあるのか眼下に里芋畑の葉が広がっている。家には家人と義妹と、小学校の時の同級生千葉がいる。どう考えても間に合わない時間になっている。急いでいるのにこんな時に限ってベル…

胸騒ぎのする読書

十月七日(月)陰後晴、蒸し暑し 『意身伝心』読了。久しぶりに読みながらずっと胸騒ぎを抑えられなかった。これが始まると目が泳ぎ、字面を追ってはいても読めていないこともしばしば。それでもこの上なく楽しく、刺激的で、よく分からないところもたくさんあ…

棚と茶杓

十月六日(日)陰後晴 午前中急に思い立って車で家人と久しぶりに遊行寺骨董市に行く。出店がこの前の鶴岡八幡宮の骨董市よりも少なかった。大江戸も開催の日なのでそちらに流れたか。家人が気に入った茶杓、供筒と箱の二重で銘「秋の聲」と「野あそび」を買う…

十月の予定

十月五日(土)雨時々陰 終日家に在り、よくものを書いた。朝半紙に向かって習字の後原稿を一本仕上げ通信も終わり、ゲラのチェックも済ました。嶺庵の掛軸を象山の書に換え、ついでに飾り棚の模様替えもした。充実した一日であった。これでとりあえず締切りの…

全体と部分

十月四日(金)陰 先日会社で全世界での売上を管理する部門の本部長が研究所に来て話をされた。要するに売上と利益をもっと出せるような社内体制を整備するという話なのだが、その中で「部分最適」と「全体最適」というふたつの言葉をあたかも対の概念であるか…

明治の化學者

十月三日(木)晴 廣田鋼藏著『明治の化學者』讀了。明治の化學界における派閥抗争を掘り起こした勞作。朔日に書いた舎密派即ち實學重視の長井長義一派と理學派櫻井錠二派の、其れまでの「化學史」では触れられる事のなかつた、單なる化學會會長のポストを巡る…

明治の日本人

十月朔日(火)雨後晴 杉山茂丸『俗戰國策』讀了。書かれた事が嘘か眞か全く判斷のしやうもないが、策士茂丸大活劇の趣もあつて讀み物としては面白い。伊藤博文も山県有朋も、桂太郎も大隈重信も、茂丸の手に掛かると極めて人間くさい存在となり、子どもの意地…