2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

日記抄 

二月二十八日(木)晴 今會社の往き返りに澁澤龍彥の『私の戰後追想』といふ本を讀んでゐる。全集から河出書房の編集部が選んで編んだ文庫本で、囘想や身辺雑記風のエツセイ集である。澁澤の本を讀むのも久しぶりであるが、文學や美術に関する文章と異り、露…

體調

二月二十六日(火)晴 朝起きて着替へてゐる際に頭を上げた途端に足許がふらついた。立眩みに近い。何とか準備を終へ出勤するためいつも通りの時間に家を出るも、いつもの電車に乘り遅れた。驛で少し休み、會社までの道のりを考へるととても辿り着けないやうな…

茶の日 

二月二十四日(日)晴 朝目覚めるに頭痛あり。結局九時過ぎまで眠る。其の後急ぎ支度を為し家人と車で町田に向かふ。岳母の社中の茶之湯稽古也。徒然棚及び立礼の薄茶点前を二度為す。又、家人の点てし濃茶を喫す。主菓子はこぼれ梅也。其の後持参したDVDに…

竹・怪談・調壓 

二月二十三日(土)晴 十一時より一如庵にて尺八稽古。松巖軒鈴慕を初めて通しで吹く。難曲なれど寂々とした名曲也。早稲田驛近くにて昼食の後地下鐡で澁谷に往く。三度シネマヴヱーラに足を運び大映映畫『怪談おとし穴』を観る。成田三樹夫は此の作品では主…

花粉到來

二月二十日(水)晴、極めて寒し 勤務時間内は割に忙しく仕事を為す。定時少し過ぎ退社し品川に向かふ。此の間目と鼻に花粉症の症状顕著となり、嫌な季節の到來を知る。七時より匂ひ関係の懇親会。ほぼいつものメンバー六名が集まる。余を除き皆名だたる一流優…

三樹夫再び

二月十九日(火)雨時々雪 半休を取り雪まじりの中晝過ぎ會社を出て澁谷に向かふ。驛より歩いて圓山町シネマ・ヴエーラに往く。途上古書肆にて栗田勇著『女人讃歌−甲斐庄楠音の生涯』を伍百圓にて得る。拾ひものであつた。嘗て某廣報誌連載時に資料として人に…

文樂三樹夫

二月十七日(日)陰 九時前家人と家を出で半蔵門國立劇場に往く。十一時より文樂二月公演。第一部の『摂州合邦辻』万代池の段、合邦庵室の段を観る。説経節俊徳丸を下敷きにするも主眼は玉手姫と合邦親子に移り、説経節の持つ素朴ながら情念の底を感じさせる筋…

愚挙 

二月十五日(金)陰後雨 定時退社後平塚驛近くの伊太利亞料理店にて送別会。余の属する研究所の所長某が急遽退社することとなり開催せしもの也。此の所長、某外資系同業他社より轉職せし者にて、今囘も亦同業他社、即ち競合する他社へ轉出するにも関はらず、…

文茶

二月十六日(土)晴 米芾の尺牘を半紙三枚臨書した後、午後三時まで某所に依頼されし原稿を認(したた)む。午前中にアマゾンより五冊本が届く。それらと原稿の資料に書棚より取り出せしギリシアローマ神話辞典などの書籍机上に山積す。ほぼ書き終へて車で家人の…

元禄文化

二月十四日(木)晴後陰 守屋毅著『元禄文化』讀了。此の人の著作は嘗て『京の藝能−王朝から維新まで』(中公新書)を讀んで、獨自の視點と明快なパースペクテイブの提示に感心して以來であるが今囘も為になつた。多少圖式的な処はあるが、「遊藝」「悪所」「芝…

苓桂朮甘湯

二月十三日(水)陰 日曜以來の目眩止まず、朝から近所の耳鼻咽喉科に赴き診察を受く。聴力検査と眼振検査を受く。目眩は確かに観察されるとの事なれど、聴覚に異常はなく三叉神経に由來せしものに非ずと言ふ。結局原因は特定されず、目眩止めの漢方薬「苓桂朮…

三条西と追記

二月十二日(火)晴後陰 原勝郎著『東山時代に於ける一縉紳の生活』讀了。三条西実隆についての小著だが、日本史學上の名著だといふ。門外漢にとつては寧ろ今谷明による解説「『一縉紳』をどう讀むか」に教へられる処多かつた。明治末年以前は鎌倉・室町時代は…

野毛的晩春

二月十一日(月)陰 朝目が覚めて起きようとすると眩暈がした。吐気もあり、食欲もない。安静にしていたが昼食後病院に行くことにした。休日に急診を受け入れてくれる病院を探し、問い合わせてから済生会横浜市南部病院というところへ家人の運転で車にて向かう…

伊太利亜式

二月十日(日)晴 終日家に在り。體調優れず。悪心あり。GYAOにて伊太利亜映畫『あゝ結婚』を観る。デ・シーカ監督、マストロヤンニとソフイア・ローレン主演。ソフイア・ローレンの美しさに目を奪はれる。本當に美しく、派手やかな明るさの中に可愛さも悲…

竹・王・漆・駆

二月九日(土)晴後陰 十一時より一如庵にて尺八稽古。大和樂、布袋軒鈴慕、流し鈴慕曙調子の後初めて松巌軒鈴慕に入る。竹調を繰り返し稽古。十二時辞して昼食の後上野に向かい、徒歩東京国立博物館に入る。程なく家人も着き、倶に書聖王羲之展を観る。中に入…

同級生

二月八日(金)陰 昨年秋に中学の同窓会が開かれた。卒業後三十六年経っての初めての開催であったが、迷った末に私は行かなかった。ただ、事前からネットで同窓会のホームページが立ち上がっていたので、たまに覗いていた。誰がそこを見に来たかも分かるし、住…

王羲之

二月七日(木)陰 車で出勤。定時退社しそのまま町田のN子実家に行く。丁度岳母とN子が戻った直後に到着。直ぐに先週土曜にNHKで放映された王羲之に関する番組の録画を見る。この中に我らが一如庵が出てくるのである。書家石川九楊が女優に書を教えるシー…

巨人

二月六日(水)雨 積雪による交通の混乱を恐れ会社を休む。 『田中清玄自伝』読了。実に面白かった。田中の名さえ最近になって知ったばかりであるが、この自伝と題されたインタビューを読むと、ちょっと他に比較しようのない魅力を持った巨人であったことだけ…

物語と家族 

二月五日(火)陰 たまにしか映画を見ないせいもあるが、見るとしばらくその映画について考えたり思い出したりすることが続く。得と言えば大変お得である。先日も書いたが、東京物語と東京家族の俳優の比較が結構面白い。映画撮影時の実年齢を調べると、これ…

東京物語

二月三日(日)晴 久しぶりに目覚ましも掛けず九時まで眠る。午前中は先日届きし筆を下し、その内の唐筆を用いて臨書を為す。此れは羊毫及び鼬毛の筆を購入して附いて來たおまけの品也。晝食の後寝室にてDVDで小津安二郎『東京物語』を見る。先日見し『東京家…

鎌倉散策

二月二日(土)雨、昼前より陰一時晴 七時過ぎ起床。すでに気温高く暖かし。朝食の後余はシヤワーを浴びる。八時半過ぎ三人で嶺庵に移動し蒲団を片付け聞香の用意を始める。まず百合根きんとんと抹茶を呈した後、香炉の灰を作る間に余は尺八を吹いて客人をもて…

來客

二月朔日(金)陰後雨 定時退社し小雨の降り出した中急ぎ歸宅す。すでにI田さん家に在り。家人の広告代理店勤務時代に一緒に仕事をして以來付合ひのある女性寫眞家にて札幌在住なるが、今囘横濱にて寫眞関係の会議があり來濱、此の機会に拙宅の客となるもの也…