2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ホット・ショア

八月二十二日(金)晴 会社を休みリハビリテーション病院に往く。右肩や背中のマッサージを受け、可動域も少し広がり痛みも若干楽になる。肩や腕だけの問題ではなく、腰から背中も張っていて、そこからほぐす必要があるようだ。肩が痛むのでストレッチや軽い運…

マイノリティ

八月二十日(水) 右腕の可動域が極端に狭まり、いずれにせよ動かすと肩が痛むので左手で何事もするようになると、如何に世の中は右手優位に成り立っているかを痛感するはめになる。マウスはほんの一例だが、ズボンのチャックから駅の自動改札、エレベーターの…

諦念延長

八月十九日(火)晴 その時私は二十一歳だった。どういう状況だったかまるで思い出せはしないのだが、とにかく私は虚無を見た。「虚無に達した」と自分では言っていた。ああ、そういうことだったのだ、とすべての謎が解けた気がしたのである。物質や生命や時間…

読書

八月十八日(月)晴 ふと思い出すのは、思春期のころは他に楽しいことが何もないから本を読んでいたということだ。書物だけが友達だったと言い換えてもよい。孤独で人に馴染まない少年は、当然のことながら文学の与えてくれる感動や、哲学書が見せつける論理構…

甲子園

八月十七日(日)晴 終日メジヤーリーグ、高校野球、職業野球をテレビジヨンにて觀戰。甲子園では最近勢力分布に大きな變動が見られるやうだ。關東が全滅に近く、近畿、四國、九州、山陽と強豪古豪の犇めく地域から出た學校が早々と姿を消し、嘗ては初戰突破も…

白崎秀雄の本

八月十一日(月)晴 『鈍翁・益田孝』に續き、同じく白崎秀雄の著『三渓原富太郎』讀了。また此の本の後更に白崎の『当丗畸人傳』から長尾よねと朝吹英二の項を讀む。今では余り讀まれる事の尠い書き手であらうが、文章は確りしてをり、正字正仮名を遣ふのも好…

左手クリツク

八月七日(木)晴 會社で仕事に使ふコンピユーターの操作に際し、マウスを左手で扱ふやうにし始めた。五十肩の右腕の不如意如何ともし難く、右手でクリツクを繰り返すと肩の痛みが更に増すことに気付いたからである。左手は利き腕ではないから當然操作はたどた…

杜撰

八月六日(水) 同じく圖書館で借りた、松田延夫といふ人の書いた『益田鈍翁をめぐる9人の數寄者たち』なる本をぱらぱら捲つてみて驚いた。兎に角文章が酷い。言葉遣ひに落ち着きがなく、文が先走り、かつ話題が前後する。其の上杜撰である。行が飛んでゐたり…

小園のお銀様

八月五日(火) 渡邊崋山『游相日記』讀了。三一書房の「日本庶民生活史料集成」第三巻を借りて讀んだのである。是は他に高山彦九郎の「北行日記」や「菅江眞澄遊覽記」、古河古松軒の「東遊雜記」等を収める實に良い本だと思ふ。先日芳賀徹の『渡邊崋山‐優し…

凄まじき生命力

八月四日(月)晴後雲多し 嶺庵には明り取りの天窓がある。六十糎四方程の小さな曇り硝子の窓が天井に斜めに切つた形で嵌められてゐる。或る日見上げると其の窓の上を蔓性の植物が葉を伸ばしてゐる。前にも雨樋を傳はつて壁面を蔓が蔽つた事があり、今度も其れ…

眼福

八月朔日(金)晴後雨 會社を休み午前通院。午後家人と上野の國立博物館に赴く。台北・故宮博物院「神品至宝」展を觀る。汝窯の青磁、王羲之、徽宗帝の書と進んで、割と直ぐに蔡襄以下の宋の大家の書に至る。黄庭堅の三点に到つて足が止まる。草書花氣詩帖頁は…