2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

行政のやること

五月晦日(木)晴後陰 紫陽花の花がすでに色づき始めてゐる。暑くなつて朝は止めたものの、帰路には大船から家まで歩くのを続けてゐる。其の路程の半分を占めるいたち川沿ひの道には割あひに多くの草花や樹木が植ゑられてゐて、通勤散歩者の目を愉しませてくれ…

厚顔無恥

五月三十日(水)晴 昨夜『近衞文麿「黙」して死す』(鳥居民著草思社)読了。推測を重ねた論述であり、歴史学といふより怨恨史観とでも呼ぶべきものを感じはするが、文麿擁護と木戸幸一や都留重人糾弾の正しさはかなり共感できるものである。特に木戸の、天皇を…

述懐

五月二十九日(火) 苛立つよりは力が抜ける。怒りよりも悲しみになる。批判よりも諦めになる。世の中に見聞きすること、身のまはりで起こる出來事に對する、最近の余の態度である。それでも、此の國の大部分の人間が、限りもなく愚かで節操がなく、雅致を解さ…

送別会

五月二十八日(月)晴後陰 六時より品川の居酒屋にて六月に退任予定のS藤執行役員の顧問就任を祝ふ飲み会。参ずる者六名。恩顧を蒙りし者どもである。秋にはゴルフでも一緒にといふ話となる。久しぶりに焼酎を飲み過ぎる。品川から大船まで止まらない通勤快速…

点茶と乾杯

五月二十七日(日)晴 七時半起床。入浴・朝食の後書斎にて毛筆を執り挨拶文を半紙に認め、着物に着替へてからN子と電車にてN子の実家に行く。茶の湯の稽古なるも、直前に都合の悪くなる者続出し、結局余とN子と義妹の他は初参加のN子の友人一人にて、内輪…

喜寿

五月二十六日(土)晴 午前久しぶりに車を洗ひ昼前N子と車にて出発。麻布十番香雅堂にて香道用品を少々買物の後東京ミツドタウンの駐車場に車を入れる。昼食の後サントリー美術館にて「毛利家の至宝展」を観る。雪舟の山水長巻図は圧巻であるが、他は左程驚く…

輕自動車が怖い

五月二十五日(金)陰 街を歩いてゐて横断歩道を渡らうとしたり狹い道を抜けてゐる時、輕自動車が近づいて來ると余は思はず身構へる。怖いのである。例の祗園と亀山での痛ましい事故はともに輕自動車であつたし、実際目にする限り信号を無視して突つ込んだり、…

文麿の評価

五月二十四日(木)晴 昨夜遅くN子帰る。食器を買ひ揃へたらしく大変な荷物であつた。余は越南には行つたことがないが、N子は好きでよく行つてゐたらしい。 此の日西園寺公望の『陶庵随筆』読了。近衞文麿の政治的な師匠のやうな存在で、維新を潜り抜けた所…

大漁

五月二十三日(水)晴 昨日藤沢の古書肆五軒を回つた処思ひの他良書を得た。何度も古本屋で見かけてどこにでもあるのではないかと思つてゐた尾崎秀樹の『ゾルゲ事件』(中公文庫)こそ見つからなかつたが、釣果を報告したい。ただし、最近は置場の問題もあつて専…

夢顔さんの正体

五月二十二日(火)陰後雨 昨夜『夢顔さんによろしく』(西木正明著・文春文庫)読了。瞑目して暫し想ふところ少なからず。世間的には近衞文隆の名は余り知られてはゐないだらう。余にしても文麿の長男で早世したことくらゐしか知らずにゐた。ただ、文隆の妹の嫁…

判断中止

五月二十一日(月)早朝雨後陰 金環日蝕の観測される朝だといふ。余は興味なく、空を見上げる事もなし。宇宙のことになると、余は判断停止、思考停止の状態になる。何もかもが理解できなくなるからである。地球上であれば、自然現象も生命も、時間も空間も、神…

例會

五月二十日(日)晴後陰 早朝N子は越南に向けて出掛けて行つた。義妹のK子と二人でのシヨート・バカンスである。余は八時過ぎに起床し、十時前家を出で、有楽町で降りて大江戸骨董市を覗く。多少目が肥えたせゐもあらうが、余り目ぼしいものは見つからず。茶…

薔薇屋敷

五月十九日(土)晴後陰 七時起床、お召の着物で九時家を出づ。十一時より一如庵にて尺八稽古。大和樂、布袋軒鈴慕の後越後三谷三回。辞して早稲田駅にちN子と落合ひ、馬場下町すず金にて鰻重を食す。其れから地下鉄を乗り継ぎ練馬に到り、徒歩K先生宅に着く…

細川と夢顔

『細川護貞座談』読了。割にものの分かる人だつたやうだ。少なくとも息子の護煕よりは余程学問も芸術も分かる人のやうに思ふ。近衞文麿は岳父に当り、戦中其の秘書官等を務めたが、戦後は潔く政治の世界から身を引いて文と美の世界に遊んだのも、狩野直喜仕…

新富町

五月十七日(木)晴、深夜雷雨 朝の通勤時東海道線電車の人身事故により藤沢駅にて一時間以上足止めを食ふ。其の間持参せし文庫本の読書進む。十時過ぎ会社に着き十二時には半休をとつて退社。東海道線内爆睡の後新橋・有楽町と乗り換へて地下鉄で新富町に至る…

芭蕉・西行・能

安田登著『身体感覚で「芭蕉」を読みなおす』読了。「おくのほそ道」が義経鎮魂の為の旅であり、其れが西行の崇徳院鎮魂の行をなぞるものであり、さらに二人のさうした行為が能のワキの役割に当るものであることが、実にすんなりと理解できる好著である。芭…

上からものを言ふ

五月十六日(水) 世上よく「上から目線」なる言ひ方を目にする。悪い意味に使はれることが多い。余はかうした使ひ方に不快を感じずにはをられない。余自身がさう言はれることが多いといふこともあるが、其れ以上に此のものの言ひ方の背後にある人々の考へ方に…

六本脚

五月十五日(火)雨 S執行役員と出張で大阪に來てゐる。夕方に東京から着く得意先の女性部長と三人で会食の予定である。其の間シヨツピングセンターのやうな処に居ると、中年の男女二名が「見つけた!」といふ感じでS執行役員に歩み寄り話を始めた。何か込み…

三日坊主

五月十四日(月)晴 金曜から、N子が専門家から聞いて來たといふ野菜スープダイエツトを始めた。毎日一回、なるべくなら夕食を野菜スープしかとらないといふもので、他の二食は普通の食事でいいが、一度は野菜スープの他には炭水化物を一切とらない。ところが…

盛り沢山

五月十二日(土)晴 九時半家を出で横浜高島屋にて岳母への母の日の贈り物を購ひ併せて余の鞄も求む。横浜より上野に往き新装成つた上野公園の木陰にて持参の弁当をN子と食す。晴天なれど風もあり日蔭はやや寒き程也。其れから東京国立博物館にてボストン美術…

減量計画

五月十日(木)晴後雷雨後陰後晴 今朝から通勤時一駅分の徒歩運動を始む。家を出て三十分歩き、十分電車を待ち、二十分電車に乗つて、再び会社まで二十分歩く。往き帰りで都合百分歩く勘定である。実際、腹部がかなり酷い事になつてゐる。昨年買つた夏物が全く…

漢字の力

五月九日(水)陰 張莉著『五感で読む漢字』(文春新書)読了。漢字に対する興味深まる。松岡先生経由で白川静を読んだのと、書の歴史を知らうとすれば避けて通れない漢字の成立の事情や空海の字や言葉に対する思想に触れたこともあつて、甲骨文、金文、篆書から…

疲労困憊

五月八日(火)晴後陰 退社後横浜に赴き社内の人間五人での飲み会に参加。滅多にないことでもあり義理もあるから出たものの、噛み合はない会話に疲れ切る。酔ひが回つて耳が遠くなるのか、もともと人の話を聞いてゐないのか、質問には答へず、一方では片言を取…

初夏の繁茂

五月七日(月)晴 出張に出たまま連休に入つたのでしばらく会社に出ず、今朝久しぶりに通勤路を歩くと、此の十日ばかりの間に樹木の葉は生ひ茂り、道端の草花や雑草の背が伸びて、あたり全体が色濃いみどりの景色になつてゐる。花の咲いてゐるあひだは木々の梢…

述懐

苛立つよりは力が抜ける。怒りよりも悲しみになる。批判よりも諦めになる。世の中に見聞きすること、身のまはりで起こる出來事に對する、最近の余の態度である。それでも、此の國の大部分の人間が、限りもなく愚かで節操がなく、雅致を解さず、無責任で志に…

赤子とバツハ

五月三日(木)雨 午前中執筆。昼過ぎN子の友人A氏夫妻が生後二か月余りの赤ん坊を連れて来訪。昼食を倶にす。赤子は男の子にて、眠ったりミルクを飲んだり目を見開いてゐたりと何をしてゐても可愛く見飽きず。A氏夫妻よりは結婚祝ひとして南部鉄瓶を頂戴す…

二日目

五月二日(水)雨 九時より執筆日課の如し。明日来客あれば少しでも進めたく夕食まで続ける。書き上げるべき項目の半分を過ぐ。八時過ぎよりジムにて体を動かすに腰痛やや和らぐ。

一日目

五月朔日(火)陰時々雨 九時より五時まで執筆。其の後尺八を久しぶりに吹くも調子が出ず一時間程にて止む。夕食後すぐに入浴し、其れから書の稽古。此れも直ぐに肩が痛む。原稿の方は進んだが冴えない一日であつた。