2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

伊豆の櫻

三月三十日(月)晴 昨日より西伊豆戸田にて湯治。今日は松崎に往く。富士と櫻を觀る事繁し。寫眞を以て其の間り消息を伝ふ。松崎にて佳き出會ひあり。今後の甲斐荘楠香研究に資する處大なる事を期す。 富士 山と川と櫻 菜の花と櫻 櫻の小径

連酒

三月二十五日(水) 有給休暇消化の爲本日も休む。上野の東京國立博物館に往き『インドの佛』展を觀る。舊名カルカツタ、現在はコルタカと表記される都市の博物館所蔵品を展示するものにて表慶館にて開催さる。佛像出現以前の法輪の彫刻等面白く觀る。上野より…

門人録

三月二十四日(火)晴 此の日東京大學醫學圖書館に赴く。呉秀三文庫所蔵の貴重圖書『吉益家門人録』を閲覧す。明和六年に至つて井岡道貞の名を見出す。津山藩儒醫井岡道安は東洞先生の門人たりし事を知る。他にも参考とすべき發見多く収穫大なりと云ふべし。仔…

象山の書

三月二十三日(月)晴、寒し 松本健一著『佐久間象山・下巻』讀了。幕末の思想や政局を知る上での新たな視点を與へられた感あり。象山先生への畏敬の念を更に強くす。又、余得としては、此の書を讀んで吉田松陰を前ほどには忌み嫌はなくなつたといふ事がある。…

メタモルフオーズ―或は牛ゴリラ

三月二十一日(土) 林與一と濱木綿子の夫婦が料亭をやつてゐる。二人はまだ若く倶に美しい。彼らは地主でもあつて、私は其の店子である。また所有する廣大な土地の一角にジヤングルがあり、私は紆余曲折あつて(失念)、其のジヤングルを開發することになつた。…

象山

三月二十日(金)陰 松本健一著『佐久間象山』上巻讀了。余は象山のフアンである。松代にも行つたし、京都妙心寺大法院の墓も訪ねた。木屋町の暗殺された邊りには何度も足を運んでゐる。京都の彼方此方の寺に殘る揮毫を見て其の書が氣に入りオークシヨンで象山…

驛と映畫

三月十七日(火)晴 二兩編成のローカル私鐡らしき電車に乘つてゐる。突然目的地とは違ふ驛に着き終点だといふ。乘客は慌てて電車を降りてしまひわたし一人が車内に取り殘される。何が起こつたのかよく分からず驛名を見ると『災難不倫寮』とある。やむなく私も…

海月三昧

三月十四日(土)晴 通常余は漫畫を讀まない。しかしながら突然一氣に何十巻もの續きものを讀んでしまふ事がある。過去に手塚治虫の『火の鳥』とか横山光輝『水滸傳』、そして『スラム・ダンク』や『NANA』などを一氣に讀んでゐる。今囘東村アキコ先生の『…

花粉と述懐

三月十二日(木)晴 今年の花粉は酷い。花粉症向けのゴーグルのやうな眼鏡をしてゐるのに目が痒くてじつとしてゐられない程である。鼻や喉は痒いといふより痛い。春が憂鬱な季節になつてから久しい。梅が咲き柳が芽吹き水が温み始める時期に心から喜びを感じ得…

戀仲未満

三月十日(火)晴 小劇場を兼ねた喫茶店のやうな店の中にゐる。中年に差し掛かつてはゐるがいまだに若々しさを失はぬ見栄えのよいカツプルがゐて、有名な演出家と女優であるらしい。わたしは二人のなりそめを知つてゐて、女性の方から猛烈にアタツクして結婚に…

しやうざんさんざん

三月八日(日)陰 朝食は十七階の和洋食のバイキングで取り、荷物をまとめてフロントに預けてから出發。市役所前から地下鐡で太秦天神川に赴く。パリの美術學校すなはちEcole des Beaux-Artsの作品が展示されてゐるので見に行つたのである。壁面に飾られた作品…

冷遇と厚遇

三月七日(土)陰後雨 八時過ぎ六階にある日本料理の店に朝食に行く。二仟五佰圓もする朝定食である。今囘は招待されてゐるから良いが自分では絶對に行かないだらう。隣の席では一目で不倫旅行と分かる、初老の男性と若作りした綺麗目の中年女性が朝からビール…

宗達の牛

三月六日(金)陰晴不定 朝いつもより早めに家を出で新幹線にて京都に向かふ。驛からタクシーで京都ホテルに入り、荷物を預けた後徒歩鴨川を渡り頂妙寺に到る。冬の京都の特別公開にて勿論余も初めて也。俵屋宗達ゆかりの寺とて、たらしこみの技法を効果的に使…