海月三昧

三月十四日(土)晴
通常余は漫畫を讀まない。しかしながら突然一氣に何十巻もの續きものを讀んでしまふ事がある。過去に手塚治虫の『火の鳥』とか横山光輝『水滸傳』、そして『スラム・ダンク』や『NANA』などを一氣に讀んでゐる。今囘東村アキコ先生の『海月姫』を十四巻まで一氣に通讀。映畫を見て丁度一ヶ月後の事である。見た直後だと映畫の印象が強すぎたかも知れぬが、ある程度曖昧になつた映畫の細部の記憶とともに漫畫を讀んだ感じで、映畫と漫畫が響き合ふ心地よさがあつた。漫畫を讀んだ上でも、矢張り奇跡の配役といふ印象がある。主人公の月海は漫畫よりも能年玲奈の方が斷然可愛くて漫畫を讀む際顔を能年に変換すると樂しいし、まやや役の太田莉菜は漫畫の雰囲氣に忠実でありながら遥かに魅力的である。それにしても、太田莉菜は余の好きなタイプである。實は漫畫と一緒に公式寫眞本も買つたのだが、その太田莉菜の寫眞を見て余は唸つた。余が會社で密かに思ひを寄せてゐる分析研の財前さんに似てゐたからである。ああ、切れ長でやや口の大きい、かういふ顔が大好きなのだなと改めて痛感した次第である。さて漫畫の方は映畫でのストーリーを越えて進行してゐて、これはこれで面白いので今後も単行本が出る毎に買つて讀む事になりさうである。早速十五巻目は註文した。同じ能年玲奈主演の映畫でも『ホツトロード』は原作漫画を讀む氣にはならなかつたのだが、此方は讀んで大正解、樂しい一日を過ごすことが出來た。