2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

紫陽花

七月三十一日(火)晴 通勤の往き帰りに歩くいたち川沿ひに県立高等学校が在り、歩道と学校の金網のフエンスの間は植ゑ込みになつてゐて春の櫻を始め、四季折々の草花が咲いて目を樂しませる。今は白紛花が咲いてゐる。少し前まで咲き誇つた萼紫陽花の花は枯れ…

代議士 

七月三十日(月)晴 朝出勤の為駅に赴くに民主党の代議士長島某駅前にてビラを配りつつ演説を為す。大津のいぢめ自殺問題を端に、地元の学校でのいぢめの状況について教育委員会から調書を取り寄せ現状を把握し問題解決を考へると云ふ。時事の話題を取り上げ…

述懐

十九年前現在の土地に余の勤務する研究所が移転して來た時、七階の職場の窓からは海が見えた。夏には相模川の河口で打ち上げられる花火まで見えたものである。それから月日が流れ、当時は界隈で一番高い建物であつた研究所の周囲にも高層マンシオンやビルが…

熱闘 

七月二十九日(日)晴 午前岳母の社中にて茶の湯稽古。午後岳父と高校野球神奈川大会決勝をテレビにて観戦す。昨日セーフテイバントを三塁線に転がし三連続のバントヒツトを決め満塁とした挙句に満塁本塁打を放つて準決勝でコールド勝ちを収め余を驚かせた桐…

暑中

七月二十八日(土)晴 午前中夏休みの宿題をやる如く匂ひ関連本の原稿チエツクを行ひ、昼前徒歩図書館に赴く。取寄せ依頼してあつた魚住和晃著『宮島詠士 人と芸術』(二玄社)を借りて帰る。古本にても高額な為借りて讀む事にしたもの也。一如庵には詠士の書が…

貧しさについて 

七月二十七日(金)晴。暑さ続く 貧乏には慣れてゐる。正確に言ふと、貯金がないことや借金が沢山ある事に慣れてゐる。時に貧乏生活を強ひられ、欲しいものも買へずやりたいことが出來ぬ日々を過すことも多い。其の事自体に不満はなく、そんなものだと諦める…

奥の細道 

七月二十五日(水)晴 溽暑堪へ難し 午後半休を取り藤沢の古本屋を巡る。光書房他で良書を得る。釣果は下記の如し。 『太陽にかける橋』グエン・テラサキ/中公文庫 『私の東京物語』朝吹登水子/文化出版局 『東條英機と天皇の時代』保阪正康/文春文庫 『…

人身事故

七月二十四日(火)陰 朝駅に行くと人身事故の為根岸線が止まつてゐた。仕方なく家に戻り車で出勤し遅刻せずに済む。昨夜眠れず夜中に起き出して嶺庵で黄庭堅の書帖を眺めてゐたせゐもあり、また仕事も大してなかつた事もあり終日睡気甚だし。帰りは道路渋滞し…

配役

七月二十三日(月)晴 暑さ稍戻る どうでもいい話ではあるが、もし戦前か戦中の日本を背景にした映画かドラマで近衞文麿を登場させるとしたら、小薮千豊に文麿を演じさせたらよからうと思ふ。小薮がもう少し歳を取れば、かなり似るだらうと思はれるからである。…

骨董日和

七月二十二日(日)陰、涼しさ続く 終日家に在り。筆を執りM先輩宛に書簡を認む。先日の礼状也。其の後岳母に贈る短冊の書を試みるも納得行くものが出來ず短冊を無駄にするのみにて竟に成し得ず。明日短冊を追加購入して継続する予定。色紙より短冊の方がバラ…

新本

七月二十一日(土)陰時々雨 極めて涼し 十一時より一如庵にて尺八稽古。其の後大学近くの古本屋を覗くも何も見つからず、三朝庵でかつ丼を食した後横浜に戻る。地下街の新本屋に往き、岩波現代新書の二冊を購ふ。 豊下楢彦著『昭和天皇・マツカーサー会見』 …

ソ連といふ恐怖国家

七月二十日(金)陰後雨 V.A.アルハンゲリスキー著瀧澤一郎訳『プリンス近衞殺人事件』讀了。此れはタイトルから想像されるやうなミステリーではなく、近衞文麿の嫡子であつた近衞文隆がソ連により不当に逮捕監禁され、戦後十一年に亘つて拘留された挙句に…

戦後の夏

七月十九日(木)晴後陰 帰宅後浴衣に着替へる。先日岳母から貰つた兵児帯を締める。昼間は暑かつたやうだが夕刻になつて気温が下り、北側の窓から好い風が入つて涼しい。昨年來昼間暑くても朝晩は凌ぎやすいといふ昔ながらの夏になつてゐる。此れがもし、節…

國民的人氣

七月十八日(水)晴後陰 吉田裕著『昭和天皇の終戦史』読了(岩波新書)。先日讀み了へた『昭和天皇独白録』の内容吟味を踏まへた著作でもあり、また此の処讀んで來た近衞文麿関連の本で得た知識とも繋がる事の多い、有意義な讀書であつた。独白録がGHQによる…

野次大臣

七月十七日(火)晴、暑し。此の日梅雨明けと言ふ わたしは新聞記者か何かの資格で国会内にゐる。政府の答弁や議員の発言に対し、わたしはいちいち野次を飛ばす。それが、当意即妙で余りに的を射た痛烈な批判や皮肉になつてゐるので、どっと受けるばかりか言…

此処数日

七月十四日(土)晴時々陰 午後嶺庵に若き友人二人を招き、茶香竹でもてなす。急に暑くなりたる一日なるも、余は絽の着物にて過す。六時半より飲食を倶にし、十一時半散会す。若い人の食べつぷりの良さは見てゐて気持ちの良いもの也。初めて夏に嶺庵茶話会を…

十七代

七月十二日(水)晴 細川護貞著『細川家十七代』読了。日経の「私の履歴書」に連載されたものを後に纏めた本である。殆どが既に何処かで讀んだか知つてゐる事であつた。ただひとつ、越中褌の「越中」が細川家二代目三斎が越中守だつた事から來たとは知らなかつ…

存在と他者

七月十日(火)晴 『ある歴史の娘』読了。読み応へのある一冊であつた。あれだけ感受性が強く、しかも同時に冷静さと率直さと知性をも持ち合はせた少女が、あれ程の人物たちに囲まれて育ちながら其の影響を受け、そしてあんなにも激動の時代を生きて行く中で、…

不易流行

七月九日(月)晴 仕事柄新しい香水の情報を得る為に、アメリカ版のWWDといふ雑誌を目にする機会が多い。其処には当然のことながら最新の女性フアツシヨンの写真も掲載されてゐる。若い頃、フアツシヨンデザインの世界に興味を持つた時期があり、服飾はも…

浅草

七月八日(日)晴時々陰 午後浅草に往き、雪駄草履、下駄、浴衣等を購ふ。良い買物であつた。牛皮エナメルの草履は新仲見世の辻屋本店にて誂へた。父に貰つた蛇皮の鼻緒の雪駄を持つて行き、鼻緒の調整もして貰ふ。これで履物はだいぶ揃つて來た。仲見世の「か…

七夕

七月七日(土)陰後雨 実に梅雨らしい、蒸し暑い曇り空からやがて雨が降り始めるといふ一日で、当の季節らしい天候に喜びを感じる。余の場合寒いくらゐなら蒸し暑い方がどれ程好いか分からない。じめつと蒸し暑いのが本来である梅雨の時期なら猶更である。十一…

道子さん

七月六日(金)陰後小雨 『ある歴史の娘』読み進む。実に興味深し。著者による近衞文麿評とでも言ふべき「この人は非常にすぐれた聡明な知性の人だがひとつかぼそい、ひとつひよわいと思はせた。明瞭な知性とある頑なさを持ちながら、終始一貫の不動のものと不…

五・一五

七月五日(木)陰 犬養道子著『花々と星々と』読了。五・一五事件で著者の祖父である犬養毅が暗殺される前後の消息は胸をうつものがある。あの事件が昭和の歴史を、と言ふことは即ち我々日本人の命運を大きく変へる事になるのだが、祖父の死が当時十一歳だつ…

明治の娘

七月四日(水)晴後陰 朝、雨後の晴空なれば陽光峻烈にして極めて暑し。日傘にて陽を遮り直射の熱を防ぎつつ徒歩出勤。今のところ通勤途上にて余の他に男性で日傘をさしてゐるのを見かけたことはないが、もつと広まればいいと思ふ。明らかに暑さが軽減される…

先入主の強さ

七月三日(火)晴後雨 昼前地大いに揺れる。定時に稍遅れて退社。途上動かなくなつた腕時計を修理に出す。三週間掛るといふ。帰宅後尺八練習日課の如し。夕食後風見章著『近衞内閣』(中公文庫)讀了。此れは古本で買つたものだが、扉に元の所有者が走り書きした…

優良図書

七月二日(月) 日中頭痛あり。昼休み節電の為照明を消した暗い職場の窓辺に移つて原稿用紙にこの日乘を万年筆で認む。定時退社。帰宅後N子に原稿を渡し尺八稽古中にデータ化してもらふのがここ数日の日課となつてゐる。此の日土曜に続き竹の調子良く、大和…

衣更

七月一日(日)終日雨。 何処にも出掛けず家にて衣更へや衣類紙類の整理に終日費やす。今年は梅雨に入つても余り気温が上がらぬ日が続き、夏物の衣類も今までは殆ど必要がなかつた。冬物の衣類や客用の布団等を圧縮袋に詰め、屋根裏のスペースにストーヴと一…