野次大臣

七月十七日(火)晴、暑し。此の日梅雨明けと言ふ
わたしは新聞記者か何かの資格で国会内にゐる。政府の答弁や議員の発言に対し、わたしはいちいち野次を飛ばす。それが、当意即妙で余りに的を射た痛烈な批判や皮肉になつてゐるので、どっと受けるばかりか言はれた方も苦笑せざるを得ず、それが面白くてわたしはどんどん野次を続ける。特に民主党の女性大臣に対しては、何と言つたかは忘れてしまつたがぐうの音も出ないやうな野次を飛ばした。其の後一旦議事堂を離れ、廊下を歩いてゐると会社の営業部長のMにばつたり出会つたので、自分の野次の評判はどうだ聞くと、首を横に振つて、やばいぜと言ふ。ちよつと調子に乗りすぎたかなと思ひながら、再び議事堂に入らうとすると、入口で警備員に止められて身体検査をされる。さつそく嫌がらせかと思ふ。わたしは最近は携帯電話も持ち歩かないので何も問題はないだらうと思ふも、官憲のやり方は汚いからどうなるかわからないといふ不安も拭ひ去れずにゐるところで目が覚めた。