2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

寂しき金曜

一月三十一日(金)晴 ひとつひとつは取るに足らぬ些細な事であつても、幾つか重なると氣が塞ぐといふか、何だか寂しいやうな悲しいやうな氣分になることがある。今日から會社のスキーツアーがあつて、あきちやんやY子が行くのである。別に嫉妬といふのでもな…

山水癖

一月三十日(木)陰後雨後陰 大室幹雄『志賀重昂『日本風景論』精讀』讀了。日清戦争前後の日本の文学の状況を理解するのにこれ程の好著はないと、讀む前に此の本の題名から誰が想像し得やうか。山水癖とも呼ばれる、江戸期から續く漢詩文における風景や風雅を…

目途

一月二十八日(火)晴 昨日と一轉割と暖かな一日。一月末締切の原稿二つ、終了の目途がつく。定時に退社し歸宅後臨書と尺八稽古。揃つて為し得たのは久しぶりである。今、大室幹雄の『志賀重昂『日本風景論』精讀』を讀んでゐる。驚くべき書物で幕末明治期の漢…

日中関係

一月二十七日(月)晴 日中関係が悪化の一途を辿つてゐる。主に両國の政権奪取者たちによる、亜細亜の平和を顧みない野心的かつ権力者意識丸出しの言動が原因である。しかし、考へてみると日本の場合は曲がりなりにも選挙で選んだ為政者なのであるから、あんな…

初釜

一月二十六日(日)雨後晴後陰 六時半起床。きものを着て八時前に出て大量の荷物を車に積み町田へ。九時前に着き、まず盛り物の飾りつけを為し、諸々準備の後十時半過ぎ門人を迎へに行き十一時過ぎより初釜。客は丁度十人にてそれを五人づつの二組に分け、濃茶…

果實

一月二十五日(土)晴、暖し 昨夜就寝が遅く八時半過ぎ起床。入浴の後外出。早稲田に出で晝食の後一時より一如庵にて尺八稽古。三月の如道忌で余は流し鈴慕を吹くこととなる。二時に終り早稲田通り沿ひに神樂坂方面に果物屋を探して歩くも見つからず地下鐡と東…

前夜祭

一月二十四日(金) 會社を一時間ほど早退し、豪徳寺本樓に赴く。松岡正剛先生の古希を祝ふ前夜祭也。きもので行く事も考へたものの會社歸りでもあり諦めたのだが、それにしてもうつかり普段着に近い恰好でしかも汚れた靴を履いてゐたこともあり、男女ともに和…

職場レク

一月二十三日(木)晴 六時半より茅ヶ崎にて職場の新年會を兼ねたレクリエーシヨンあり。此の手の催しに久しぶりに参加す。総勢五十名に近し。籤運悪くお氣に入りの娘たちの傍には座れざるも、周囲の同僚との談笑に時を忘る。普段仕事で少しもリーシップを発…

暗黒期間

一月十九日(日)晴 一月も後半に入り、いよいよ余の衰弱の時期が訪れたやうだ。健康、運気、精神、体力その他もろもろ、すべてが悪化するいつもの季節がやつて來たのである。慎んで日々を送るより他に手はない。酒も極力控へ、規則正しい生活を送り、調子に乘…

新年會

一月十七日(金)陰晴定まらず 七時より藤沢某居酒屋にてFRBC新年會。参ずる者十二名。男女六名づつだつたので、席次を籤引きにして男女交互に座るやうにした。FRBCとは職場の野球好きが野球観戦を含めた親睦の集ひをする為に作つたものにて余は其のコ…

紅葉に至るまで

一月十六日(木)晴 中学・高校の頃、本を読むとはすなわち小説を読むことであった。岩波文庫、新潮文庫、旺文社文庫あたりに親しんだ。高校に入ると神田通いを覚え、古本の味を知って読書の幅は広がったが、いぜんとして中心は「文学」であった。だから大学に…

小説

一月十五日(水)陰 紅葉全集第五巻より昨夜から今夜にかけて『紫』『浮木丸』『冷熱』の諸篇を讀み了はる。會話の妙は芝居か落語でも聞くやうで、地の文の名調子は正に江戸戯作の真髄に達す。荒唐無稽と通俗性が行儀好く並んでしかも讀んでゐて面白い。紋切型…

煎茶蹴球そして家元

一月十三日(月)晴 午前家人に付き合ひ煎茶道の稽古に行く。半東役をやらされる。玉露を三席分頂く。旨し。 午後は高校サツカー決勝戦を観る。2-0の劣勢から終了間際に一点、さらにロスタイムに一点追加して追いつき、延長で逆轉といふ漫画のやうな展開にて富…

お初香

一月十二日(日)晴 十時過ぎ着物にて家人と家を出で原宿妙喜庵に赴く。恒例のお初香也。門人にて先に茶室にて一茶を喫したる後香席第一席にて筆者を務む。福壽香の組香也。練習のやうには上手く書けず。椿事あり。正解を得て本來余の墨書せし記録を得るべき客…

竹書

一月十一日(土)晴 十一時より一如庵にて尺八稽古。其の後急ぎ歸宅し午後は筆にて香席筆者の稽古。夜讀書。紅葉『心の闇』讀了。

會食

一月十日(金)陰 夜、横濱元町の仏蘭西料理店にて會社の某プロジエクトメンバー四名にて會食。新年會である。やや食べ過ぎの感はあるが、お氣に入りのひとりR子ちやんも一緒なので樂しい時を過ごす。R子ちやんは春には亜米利加に轉勤になつてしまふので、二…

氷雨

一月九日(木)雨 冴えない日々が續く。肩のストレツチはしてゐるが可動域はさして広がらず痛みは殘る。會社ではそれなりに忙しくしてゐるものの、講演用のテキストの執筆が捗らず焦り始める。原稿依頼も一本入り、短いものではあるが通信も書きたいので時間配…

仕事始め

一月六日(月)晴、寒し 電車が空いてゐたのでいつもより早い電車で出勤。早くも処方を出して香り作りを始める。歸宅後書道、尺八。夕食後尾崎紅葉全集を讀む事日課の如し。『隣の女』讀了。尺八を上手に吹く郵便局員が主人公の、中々に面白い小説である。

正常化

一月五日(日)陰 やつと普通の生活を取り戻し始める。朝入浴の後晝前年末に誂へた着物一式を試着す。お召と羽織と仙臺平の袴である。羽織の色合が特に氣に入つてゐる。お初香、初釜にて着る予定。また書道や尺八も始め、ストレツチも為し、今年の抱負を遅まき…

元旦

一月一日(水)晴 比較的暖かき元日也。例年通り朝坐禅と讀経の後雑煮を食し、近くの鎮守社である神明社に初詣に出で、是また例年通り破魔矢を購ひて歸る。晝過ぎ來客二人あり。菊姫持参は嬉しき限り也。夕刻まで歓談、少々酒を過ごす。