日中関係

一月二十七日(月)晴
日中関係が悪化の一途を辿つてゐる。主に両國の政権奪取者たちによる、亜細亜の平和を顧みない野心的かつ権力者意識丸出しの言動が原因である。しかし、考へてみると日本の場合は曲がりなりにも選挙で選んだ為政者なのであるから、あんな人間を首相にしてしまつた点で民度において日本の方が劣つてゐるのではないか。中國では為政者を国民が選んだことなど此の世が始まつて以來一度もないのであるから、共産黨首脳部の横暴や暴挙に國民の責任は問へまい。其れに比べれば自民黨などにみすみす政権を渡してしまつた日本人に罪がないとは言へないのである。
とは言へ、美輪さんが言つてをられたやうに、政治家はいつの時代も馬鹿で強欲なものなのであるから連中は措いて、民間の文化レベルでの交流・友好は續けなくてはなるまい。日本人が自國の文化伝統を誇りに思ふ限り、中國に対するリスペクトを失くしては存在基盤を失ふことを思ひ出すべきであらう。松岡さんの周辺にゐる日本文化贔屓の連中は、多く文化的國粋主義であつても決して右翼ではない。きものを着て茶を嗜み山水癖に淫することはあつても、唐物や漢詩を遠ざけることがないやうに、中國文化は我々の血肉の中に脈々と流れてゐるからである。
ただし、余は今のところ中國産の食品は一切口にしないし、衣類電化製品含め中國産のものを避けること人後に落ちない。中國料理は文化だが、中國産は文化以前の水準で、到底信用及び愛用に足らない。唯一使ふものと言へば、日々の臨書に用いる半紙くらゐのものであらう。