2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

悪魔の誘惑

ひとつ分かつたことがある。わたしが八斎戒で夕飯抜きでも比較的平気でゐられるのは、要するに家にテレビがないおかげだといふことである。一昨日は六斎日に当り、わたしは堺町御池に近い安宿に泊まつた。寒いこともあつて夜はずつと部屋に居てテレビをつけ…

妙心寺五塔頭巡り

一月三十日(日) 八時過ぎホテルを出で、本能寺の前にあるカフエで朝食を取り目の前の市役所前バス停から京都バスにて円町駅前に至る。昨日より寒さはかなり厳しい中徒歩七・八分で法輪寺に着く。臨済宗妙心寺派の寺院で達磨寺として知られる。三百円払つて…

石塔と若冲

一月二十九日晴 七時起床、八時前宿を出て地下鉄にて烏丸御池に到る。歩いて今日の宿に行き荷物を預けてから市役所前よりバスに乗る。京大農学部前で降り初めて京大構内に入る。入試の時期なるか構内人の姿少なく、一方で路上に置かれた自転車の多さに驚く。…

書画堪能

一月二十八日 朝六時家を出で新横浜七時過ぎの新幹線にて新大阪へ。関が原から米原にかけ積雪及び降雪あり、先日の山形とはまた趣の異なる雪景色を徐行運転の為ゆつくりと楽しむ事を得る。新大阪到着は三十分遅れ、大阪支店M氏の運転する車にて急ぎ用務先に…

八斎戒について

在家の佛教徒は月に六日ほど出家に準じた戒律(八斎戒)を守ることになつてゐて、其の六日のことを六斎日と言ふ。八斎戒のうち五つは五戒といつて、本来佛教徒である限り日頃から守らなくてはならないもので、下記の五つである。 • 不殺生戒(ふせっしょうかい…

上京前

風邪がやつと治り、昨日今日と今週末の京都旅行の計画に忙しい。三月にも行く予定があるので、ついでにそちらも併せて、ガイドブツクやネツト、時刻表など調べながらの「旅行計画」である。「冬の京都」の特別公開寺院を中心に廻るのだが、効率よく見て廻る…

佛教滅亡

保坂俊司著『インド仏教はなぜ亡んだのか』読了。インドに於いて佛教が滅んだ経緯をイスラム側の史料をもとに、比較文明論の手法と用語を使つて考察したもので、示唆に富む一冊である。今までの一般的な理解としては、イスラム教徒のインド侵略による佛教寺…

格好いい男

わたしにホモセクシュアルな傾向はないけれど、それでも好きな男優、格好いいと思ふタレントや有名人は多い。マカロニや『傷だらけの天使』の頃の萩原健一は滅茶苦茶格好良くて憧れたし、成田三樹夫や高倉健、三船敏郎の男つぽさにも痺れた。長嶋茂雄も見た…

出家の覚悟

一月二十日(木) 風邪で熱を出し会社を休む。喉が痛み、からだの節々に軋むやうな痛みがある。朝近くの医者に行つて薬を貰ひ、お粥を作つて昼夜食べる。 昨日、届いたばかりの『出家の覚悟』 (サンガ)を一気に読み終へる。之はスマナサーラ師と曹洞宗の南直哉…

三姉妹

華道清源流の家元であるわたしが、新春の花立て行事に際して息子三人のやる気のなさに腹を立て、こんなことならやめてしまへと怒つてゐる。それを宥めやうとするのが、いつの間にか息子から娘に変はつてゐた三姉妹の長女が、極めて冷静に事の経緯を説明して…

雪と勤労

業務出張により山形県上山市に往く。昨日は雪のやうなれど今日は晴れて思つたより寒くなかつたものの、やはり日陰など寒さに縮み上る心地す。上山城に登り雪景色を眺む。用談を済ませ帰宅八時を過ぐ。 往き帰りの電車の中で保坂俊司著『宗教の経済思想』読了…

東博と一如庵

一月十六日(日)十時に東京国立博物館に入る。まず表慶館にてインド彫刻と中国美術を観る。図書の画像と異なり近くで見入れば自ずと仔細に観察する事を得て発見も多し。ガンダーラ佛像始め書籍にて得た知識の実見にもなり、休みの日に行ける範囲で斯くの如き…

スマナサーラ長老

昨夜『佛説大乗造像功徳經』読了。佛陀在世中に初めて佛像が造られた顛末と、佛像を造ることの功徳を佛陀が説く大乗經典で、佛陀の時代は勿論其の後五百年以上に渡つて佛陀の像など刻まれることはなかつたといふ歴史的事実を無視した、全くの捏造經典である…

冬景色

嶺庵の近くを流れるいたち川に白鷺を見かけることはこれまでにもよくあつたが、今年は何故かその数が多い。今朝など五位鷺らしいのもゐて、白鷺に至つては五・六羽が川面に姿を見せてゐる。中にこぶりなものもあるから子どもたちなのかも知れない。その純白…

宗教経済学

息抜きに読み始めた『寺社勢力の中世』(伊藤正敏著ちくま新書)が面白い。教科書的な日本史では文化や思想或いは政治との絡みでしか出てこない中世の比叡山や興福寺、高野山といつた寺社すなわち宗教勢力の実力の程を、其の経済的な側面を踏まえて説き明かし…

テーラワーダ佛教

往き返りの電車の中で読んでゐた青木保著の『タイの僧院にて』を読了。名著として名高い本だが、タイの上座部佛教での読經の様子が知れるのではないかといふ期待もあつて初めて読んだ。明確には書いてゐないけれど、すべての読經を佛像を前にしてするわけで…

昔のアイドル

全く突然で何の理由も思ひ当らぬことなのだが、朝起きてすぐに「三木聖子」といふ名前が頭に浮かんだ。わたしが中学から高校にかけての頃に活躍してゐた大昔のアイドルの名前である。わたしは何故か好きだつたが、本当に其の名前なのかも定かではなく、早速…

二重生活

高田修『仏像の誕生』(岩波新書)読了。併せてマトゥーラ展やインド彫刻展の図録、そして町田甲一の『仏のみち』『東洋美術史概説』を参考にしつつ読んだので、佛像誕生の経緯や展開についてのおおよその把握はできるやうになつた。おおまかに言つてしまへば…

彫刻の遍歴

佛像の歴史を追ふために、先日たまたま目にした「インド・マトウーラ彫刻展」の図録を図書館で借りた。それを見ると展覧会自体は2002年の秋冬に東京国立博物館で開かれたもののやうだ。その時分にわたしは日本に居なかつたので見てゐないが、もし居たとして…

徳田の夢

JRの車両が東に向つて集結しつつあるといふ情報を聞きつけたわたしは、危険を冒して線路際を歩いて行く。果せるかな次々と新幹線車両が何本もの線路を使つて同じ方向に走つて行く。尚も歩き続けてゐると、いつの間にか自分の会社の工場の中に入り、更に建…

佛塔・經典・佛像

図書館にて「インド・マトゥーラ彫刻展」の図録を借りて見るに、佛塔の装飾から佛像に至る過程を具に確認でき、図像学的な面白さも感じて興趣尽きず。佛塔は全く以て不思議なものにて、佛舎利即ち佛陀の遺骨崇拝に始まるものと思ひたりしがさまで単純なもの…

佛像の見方の変遷

一月四日(火)晴 余嘗て佛像を信仰の対象として祈り見んと欲して終に佛教の信仰に到り得ず、更に美術藝術作品として眺めんと試みて、ギリシア・ローマ彫刻或いはルネッサンス以降の西洋彫像の美を数多目にするに及んで、却つて佛像に対する興味を失ふ。今漸く…

博物館に初詣

一月二日(日)晴 朝から上野の国立博物館に行く。新春からの展示は雪舟、光琳、永徳、北斎、光悦、仁清始め国宝級のもの多く、また和太鼓、獅子舞などの催しもあり日頃の通常展より多くの入館者で賑ふ。中国の書畫、香道具、工芸品の逸品も多く一日楽しむ事を…