雪と勤労

業務出張により山形県上山市に往く。昨日は雪のやうなれど今日は晴れて思つたより寒くなかつたものの、やはり日陰など寒さに縮み上る心地す。上山城に登り雪景色を眺む。用談を済ませ帰宅八時を過ぐ。
往き帰りの電車の中で保坂俊司著『宗教の経済思想』読了。三大宗教の経済活動や労働に対する意識の違ひ、そして其れらの根本となる経済倫理を成り立たせてゐる考へ方の違ひがよくわかつた。当然とは言へ、佛教や日本での労働観、特に「勤労」といふものに対する考察は一番詳しく述べられてをり面白かつたが、新書といふ分量のせゐか全般的に教科書的な見取り図は描けても、鋭い切込みは少なかつたやうに思ふ。専門が「比較宗教学」との事であるから、問題意識の持ち方が余とは多少異なつてゐるのかも知れないが、日本について言へば、「思想」としての経済ではなく、実際の佛教教団が為して来た非佛教的な経済行為の是非についてまでは突つ込んで貰ひたかつたやうな気がする。