2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

梅便り

一月三十一日(火)晴 晝休み散策に出で梅屋敷跡まで脚を伸ばす。昨日より氣温は大分下り風もあれど日向は陽光暖かく快適也。梅屋敷の梅は四分咲ならんか。紅白の梅花馥郁たり。余は白梅の香を好むものなれば昨日に増して芳香を樂しむを得たり。苑域の狭くなり…

梅開花

一月三十日(月)晴 春が来たような暖かさである。しかも花粉はまだ飛んでいない。本当の春よりよほど幸せな天候である。昼休みに散歩に出た。実は先日体重が増えていることに気づき、スクランブル発動中なのである。昨日は久しぶりにジムに行ったし、食事も白…

速い呼吸

一月二十九日(日)晴 香道の家元の屋敷にいる。流派の重鎮や執事のような人たちに混じって、会社の海外からの客をもてなしている。何も知らない彼らは案内を受けて一応納得して興味深げな顔をしているが、私を含めて数人ははらはらして見ている。まったく説明…

ベルリンの豚

一月二十六日(木)晴 列車でベルリンに向かっている。パリで宿がとれなかったため、急遽行くことにしたのだが、明日の夜にはパリからの便で帰国しなくてはならないので、結構きつきつのスケジュールである。ベルリンから帰る便に替えようかとも思ったが、考え…

寒波

一月二十四日(火)晴 朝からよく晴れて会社のオフィスからは富士山が綺麗に見え、昼間も日差しがあり、夕方になれば夕焼が美しかったこの日、しかし寒さのあまり私は生き続けることの倦怠を覚える程であった。とにかく寒い。豪雪に苦しみ、太陽の姿を見ること…

成れの果て

一月二十三日(月)晴 最近つらつら思うのは、自分の人生が結局スカだったということである。死ぬ前に人生を振り返った時に後悔しか感じないであろう、失意と挫折の連続だったように思う。何ひとつ成し遂げられなかったし、何ほどのことも残せなかった。ただ…

靴の盗難

一月二十二日(日)晴 私はやくざに囚われの身となっているが、そこの家の赤ん坊が私になつくので一目置かれている。その赤ん坊は機嫌が悪いと箱になってしまうので皆が手を焼いていたのだが、私があやすと機嫌がいいのである。ただ、私はこの子が本当は人間の…

語学教室

一月二十一日(土)晴 一月から仏蘭西語教室に通い始めた。土曜に朝から三時間の授業である。入る前に面接をして、C1という、そこでは最も上級のクラスに入ることになって、最初は不安だったが、まあ何とかついていけそうである。9人のクラスなのだが、さすが…

芭蕉の地球儀

一月十一日(水)晴 案内してくれる人があって、松尾芭蕉が一時住んでいたという庵を訪ねた。ごく普通の平屋の建物で、中は十畳くらいの部屋があるだけの簡素な作りである。部屋の縁側に近い位置に古めかしい地球儀が置かれていて、芭蕉は奥の細道の旅に出る前…

触覚アイドル

一月二日(月)晴 アイドルに公認恋人制度というのが出来て、各女性アイドルには恋人が配されることになった。そして、その恋人の男性がアイドルを触ったデータをもとにアンドロイドを作るのである。価格が高いのでよほどの富裕層でないと買えないが、通常レン…

丁酉元旦

あっという間に年が明けた。新年である。今年は故あって元旦から書初めをした。今年の漢字は「潛」のつもりだったが、一文字だとどうにも様にならないので「沈潛」とした。昨年「飛」にして飛躍し損なったので、今年は潜り沈んで力を蓄えようと思っている。…