語学教室

一月二十一日(土)晴
一月から仏蘭西語教室に通い始めた。土曜に朝から三時間の授業である。入る前に面接をして、C1という、そこでは最も上級のクラスに入ることになって、最初は不安だったが、まあ何とかついていけそうである。9人のクラスなのだが、さすがに準マスターのレベルとあって、皆それなりに出来る人たちのようだ。ただ、友達になったり仲良くなったりしたいと思う人はひとりもいない。というより、大学の仏文にもいないタイプの人が多く、何故かITとかコンピューター関連の人や、フランス好きの主婦のような人ばかりで、おじさんおばさんばかりのクラスである。中に私が「しったかおじさん」と呼んでいる、小太りのおじさんがいて、自分でクラスを仕切っているつもりなのか、自分が一番フランス語ができるとでも思っているのか、とにかく教師の言うことにいちいち反応する。一応他の連中よりボキャブラリーも豊富で、それなりに話せるのだが、ときおりとんでもない知ったかぶりを発揮している。クラスの古株なのだろうが、コンピューターの初期に自分でプログラムを作ってきたことが自慢のいわゆる「オタク」がそのまま五十過ぎになってしまった感じで、見かけから発言内容から、その喋り方まで、何もかも私の嫌いなタイプである。もうひとり「うなずきおばさん」もいて、教師の発言ワンフレーズごとに、私は理解していますよとでもいうつもりか、「アン」とか「ウンウン」と声を出しつつ肯くのが非常に気に障る。あとは、質問に対して的外れな答えをする「的外れマダム」や、フランスのお菓子や食べ物にやたらに詳しい女性がいる。香料業界で知り合う、「フランス語を話す日本人」とは明らかに違う人種である。一昨年グラースで、そういう日本人の何人かに会い、多少のスノッブさが鼻について何だかなあと距離を置いたのだが、今考えるとこの人たちよりははるかに親しみも持てるし、エレガントな人たちだった。とは言え、教室の人たちと別に仲良くする必要もないから問題はない。とにかく自分のフランス語をブラッシュアップし、かつパリに住んでいた頃よりも上達して、公的な席で簡単な挨拶が出来るくらいのレベルに持っていきたいと思っている。