一月九日(土)
さう言へば年末に甥に會つた際に余が或る俳優に似てゐると言はれた。余は知らないが、石井一孝といふ人ださうである。下町ロケツトといふ番組を觀てゐてそつくりだと思つたらしい。畫像を見せられたが自分ではピンと來ない。角度や表情で似ることがあるやうだ。自分でネツトで觀て「自分だ」と思つたのは中川晃教といふ人の「フアーストデート」といふミユージカルでの寫眞で、眼鏡を掛けた顔が自分にしか見えない。もつともその人の他の寫眞を觀ると全然似てゐないので、要するに特定のアングルで見た時似たやうに見えるといふことなのであらう。余は今まで何人かの人に似てゐると言はれたことがあるが、其の人たちを比べてみても似てゐる譯ではないことからも其れは分かる。言はれてゐたのは三上博史、眞田広之、風間杜夫である。一應皆二枚目俳優だが、余が二枚目でないのは言ふまでもない。其れ等の俳優より余の方が恰好良いと言つて呉れるのは世界で唯ひとり、余の奥方だけである。
