2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

帝國大學と呼吸

二月二十八日(土)晴 東大は嘗て「帝國大學」と呼ばれた。東京帝國大學ではない。單に「帝國大學」であつたのだ。京都にも帝國大學を創設するに當つて東京の文字が付け加へられた。尤も其れ以前に東京大學と名乘つた時期もあるのではあるが。 その東京大學醫…

東京を歩く 二

二月二十四日(火)晴 夕刻墨田区福神橋近くにて業務の所用を済まし、徒歩錦糸町迄歩く。ほぼ一驛分に過ぎず道も平坦だが、これもまた山の手と並ぶ東京東部の典型的な地形である。山の手が坂なら下町は橋が多い。途上亀戸天神を詣で梅を観る。満開ではないもの…

東京を歩く

二月十九日(木)晴 午後半休して都内に出る。赤坂一ツ木通りで所用の筈が何と木曜休業であつた。時間が余つたのと暖かいので恵比寿まで歩くことにした。東京放送局の横手を乃木坂方面に少し歩き、南に坂を下つた後また氷川神社へと坂を上る。氷川神社に参拝し…

海月姫

二月十四日(土)晴 家内と銀座に出て、知人の京染屋さんの展示会を見た後大森に移動。四時前より映画『海月姫』を観る。言わずと知れた能年玲奈主演の映画である。面白くて楽しくてとても幸せな時間を過ごせた。とにかく能年のピュアな笑顔の魅力と可愛さに自…

情勢惡化

二月十四日(土)晴 戰前の中國での話である。恐らく上海邉りであらう。余は食品會社か食堂を經營する會社に勤めてゐて、税關に食材を取りに行くのだが、官吏が反日運動の高まりの中で日本人に對し意地悪をして物を通さず、腐つてから渡すなど横暴を極めてゐる…

アメ車

二月十二日(木)晴 會社の人間二拾人くらゐと一緒に飛行機に乘つてゐる。しかも余は進行方向と逆向きの座席である。傍に同期で人事部長をしてゐるIが座つてゐて両脇が空いてゐるので客はゐないのかと訊くとゐるといふ。Iの座席はよく見るとパイプ椅子であつた…

雜録

二月十一日(水)晴 モテ期ならぬ働期(はたらき)である。忙しい事もあるが、香りを創ることも文章を作ることも樂しく充實してゐる。仕事歸り週二・三囘リハビリに通ひ、時間も取られるが止む方あるまい。五拾肩がまだ治らぬので尺八を吹くことも筆を揮ふことも…

文學について

二月四日(水)晴 小説を讀まなくなつて久しい。時に時代考證や風俗を知る爲に明治大正期の小説を讀むことはあつても、新刊の小説など讀むことはまづないと言つてよい。詩歌も然りで、日本文化や思想を巡る評論やエツセー等で引かれた詩歌から、其の詩人や歌人…

《京大澤柳事件と菊池大麓》

二月二日(月)晴 △京大事件といふ名のもとに知られてゐる出來事は幾つかあるが、わたしが目下關心を寄せてゐるのは大正二年(一九一三)に起こつた、澤柳事件とも呼ばれる方のものである。わたしは長いこと高砂香料創業者である甲斐荘楠香の事跡を調べてその評…

戀愛から情愛へ

二月一日(日)晴 熟々思ふに余も齢をとつて漸く腑に落ちる處があつた。今曲がりなりにも穩當な日々を過ごす事を得てゐるのは、恐らく余が今の配偶者に對して情愛を以て接してゐるからではないかと思ふ。若い頃、異性に強い關心を持つと同時に戀愛に憧れた。愛…