2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

二百年

一月三十日(金)雨 此の處文化年間の出來事と大正時代の事物を同時に調べることが多く、其の違ひに愕然とする事屡(しばしば)である。其の間約百年。そして大正四年から今年が矢張り百年である。つまり、文化十二年は二百年前になる訳である。此の三つの時間を…

磁石門

一月二十七日(火)雨後晴 甲府方面に向かふ電車の四人掛けのボツクスシートに、妻と義妹と甥と余の四人で乘つてゐる。目の前に高尾山が見え、山の上まで建物があるのを随分開發が進んだものだと思ふ。暫くしてその高尾山の下を抜けるらしい隧道に入つた。抜け…

豪邁なる人

一月二十五日(日)晴 竟に『伊澤蘭軒』讀了。蘭軒先生に敬意を持つに至つたのは勿論であるが、余が興味を持つたのは其の息の一人柏軒である。其の人となりを評するに豪邁なる言葉が何度か主に其の弟子によつて用ゐられてゐた。豪邁とは字引によれば「氣性が激…

痴的知識人

一月二十四日(土)陰 岳母の社中の初釜に出る。出席者中に某三流和光大学準教授なる女性あり。抑々約の時間に遅れること一時間余なるも謝罪の言葉もなく、會席料理の量多しとて文句を言ふ。更に驚くべきは來たりし時着物を何と左前にて着る。嗤ふべく驚くべく…

冷たい雨

一月二十ニ日(木)雨 此の處仕事が忙しく、亦其れが樂しい。仕事と讀書と執筆のバランスも良く日々充實してゐる實感があつた。然るに會社での余の評価は底を打つた儘であるらしく、竟に同期入社の連中からも總スカンを喰らふに至つたやうである。即ち同期での…

感冒

一月十六日(金)晴 昨夜惡感あり。朝より喉痛み午後體調芳しからず三時過ぎ早退す。歸宅し近くの医者に往き診察を受く。幸ひにして流行性感冒にはあらず。ただの風邪也。家に戻り昏睡。

奇遇の讀書

一月十一日(日)晴 『伊澤蘭軒』を讀む事久しく、漸く其の終盤に差し掛かつた。『頼山陽とその時代』を讀み繼いでゐた時分に、突如此の書を讀みたくなつて鷗外全集當該巻を買ひ求めた。無知とは恐ろしいもので、讀み始めて直ぐに、蘭軒と山陽、そして菅茶山の…

引用の仕方

一月十日(土)晴 鎌倉に買物に行く。靴を購ひ食品を買ひ古本屋に寄つて二冊を得る。御成町と小町通りにあつた古本屋二軒が無くなつてゐた。大船鎌倉周辺(に限らないのであらうが)は此処數年で古本屋がかなり減つてゐる。 藤田覚著『松平定信』讀了。老中在任…

《津山藩醫井岡道安とその時代 ― その四(下) 》

一月五日(月)晴 七、醫學に於ける學統學派 儒學に學統學派があるやうに、醫學にも同様のものがあつた。こちらは儒學と違つて一般には知られてゐない事が多いと思ふので少し詳しく見ていくことにしたい。ただし、道安に直接繋がる可能性の低い蘭方醫學につい…

《津山藩醫井岡道安とその時代 ― その四(上)》

一月四日(日)晴 五、儒と医の關係 (承前) その修庵の晩年に師事したのが甲州の五味釜川で、儒醫一貫を持論とした。儒を太宰春臺に學んでゐるから、修庵と同じく儒學の師と儒醫に關する見解を異にしたことになる。釜川に醫を學んだのが柳莊山縣大貳である。山…

今年の漢字

乙未元旦 余の本年に向けた氣持ちと期待を一語で表はすと「動」である。五十肩で固まつた肩が何とか動いて、動作をスムーズにしたいし、移動を厭はず活動的にとにかく動き廻りたい。感動もしたいし、異動もあるやも知れぬ。動機は不純なれども煽動もし、動轉…