2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

声明

十月二十九日(土)陰 国立劇場に赴き声明を聴く。一時より真言宗高野山の四箇法要。観客の年齢層が異様に高い。恐らく平均で八十歳を越えているのではないか。四十代を含む我が家などかなり若い部類である。登場から法衣や所作を含む一切に目が釘付けになる。…

無為徒食

十月二十七日(木)晴 元居た部署の営業報告会に出る。もはや自分が完全な部外者であることを痛感し、寂しさと疎外感を禁じ得ず。改めて考えれば、その部署から戦力外通告によって放り出された訳であるから、恋々として関わりを保とうとするのは惨めな話であろ…

煎餅屋

十月二十四日(月)天晴 喫茶店でコーヒーを飲んでいると、窓の外、通りの反対側に父と母が煎餅屋を出していた。三田は綱坂の神社の門前である。行ってみると、古い日本家屋の二軒煎餅屋が並んでいる中の、煙草屋のように外から買えるだけの店内のないみすぼら…

世界進出

十月二十二日(土)陰 ピコ太郎の勢いが凄い。YouTubeでの再生回数がとんでもないことになっている。PPAPは初めて見た時から大爆笑した。あの言葉の音感だけで笑わせるセンスと馬鹿馬鹿しさ、意外に細かい振り付け、奇抜なファッションとともに只者ではないと…

夏冬

十月二十一日(金)晴後陰 此の処毎日服装を変えなくてはならない。一昨日は冬服、昨日は夏服、そして今日は再び冬服である。単衣と袷を日によって選ばねばならない訳だから異常であろう。ところが、こんなに気候が変動しているのに因習固陋なお茶の世界では昔…

窒息

十月十八日(火)晴 職場での窒息感が強まっている。息苦しく頭が重い。自分がやっている仕事が無意味に思え、こんなことをやらされている自分は会社にとっても社会にとっても無用なのではないかという気になる。自分の感じ方や思いを共有して貰えそうな人は…

演奏会終了

十月十四日(金)晴 火曜の夜嶺庵で尺八の練習をするうち俄かに寒気を催し、葛根湯を服して休むも翌朝体調優れず。止むを得ぬ仕事のあれば出社するも、午後身体の節々に怠さを覚えて早退す。木曜朝に至って更に喉の痛み加わり、翌日の演奏会を控え休むことに…

断片

十月十一日(火)陰時々晴 家でたまたま前の妻が忘れて行った小冊子を見つけ、畳の上に寝転がりながらぱらぱらめくってみる。すると前妻の実家であるS家のことがいろいろ書かれている。私も知っている前妻の兄について、子供のころ神童と言われ、前世の記憶に…

予報外れ

十月九日(日)陰後晴 木曜の夜から年史の調査と美学会出席のため京都に来ている。出る時の予報では土日雨とのことであったが、結局持参した傘を開くこともなく過ごせた。今日は学会の発表を聞く合間の時間で今月一日より公開となった三井家下鴨別邸と樂美術館…

淫夢

十月七日(金)晴 元の職場の某夫人とわたしの家の広い和室で布団にくるまってぴったりと抱き合っている。身体の凹凸が合うのか文字通りの密接である。わたしは誰かに見られるのを恐れ、布団のフードのようなものを彼女の頭に被せてから徐ろに挿入する。最初…

横櫛再会

十月二日(日)陰時々晴 九時過ぎ車にて出發、一路甲府に向かふ。晝前山梨縣立美術館に到着。レストランにて晝食の後『煌めく名作たち』展を觀る。京都國立近代美術館所蔵作品を中心にした展覽會である。好みの問題もあらうが、總じて日本畫の方に優品が多かつ…

淺草早稲田

十月朔日(土)陰 朝九時過ぎ家人と倶に家を出づ。新橋から地下鐡に乘り換へようとすると、SL廣場にて古本市開催中なれば一巡りして杉浦明平『崋山探索』を得る。銀座線で淺草に赴き、雷門の並木藪にて蕎麦を食してから伝法院通りの辻屋本店に行く。黒紋付き…