歓迎會

四月二十四日(金)晴
この四月に入社した新入社員が余の職場で研修をしてゐたが、一區切となつて此の日歓迎會が行はれた。余は研修に一切關はつてゐないので初めて見る若者ばかりである。余の會社には所謂ドキュン・ネームと呼ばれる、知能の低さうな親の付ける奇妙な漢字や何語とも分からぬ単語からなる名前の者は殆ど居なかつたのであるが、本年に至つて遂に現れた。本人の責任ではないものの、余は其の手の名前を忌み嫌つてゐるので殘念である。とは言へ話してみると、流石に新人らしく初々しい良い子たちであつた。相變はらず余は眞面目な事など話さずふざけたことばかり言つて笑はすのであるが、若さの瞬発力といふか、下らぬ事を言つて笑ふまでの時間が普段の連中よりコンマ何秒か速くて、何といふか藝がドカンと受けて笑ひをとれた藝人のやうな心地よさがあり、調子に乘つて馬鹿話ばかりしてゐた。勘違ひなのは分かつてゐても、初々しくこちらの言ふ事を一所懸命聞いて貰へるのは嬉しいものである。半年もすれば適當にあしらはれるやうになるのであらうが。