寒波

一月二十四日(火)晴
朝からよく晴れて会社のオフィスからは富士山が綺麗に見え、昼間も日差しがあり、夕方になれば夕焼が美しかったこの日、しかし寒さのあまり私は生き続けることの倦怠を覚える程であった。とにかく寒い。豪雪に苦しみ、太陽の姿を見ることもなく厳しい寒さに耐えている地方の人たちには申し訳ないと思いながら、東京の寒さですら耐え難いのである。風邪をひいた訳でもないのに、節々が軋むような寒さに、陰鬱を通り越してとにかく悲惨な思いで一杯なのだ。今日、普段接する事の殆ど無い役員の一人に頼むことがあって面会した。やはり偉くなる人は違う。本当に偉そうなのである。社長をはじめとして、あまり偉そうにする重役が少ないこの会社で、この尊大さは貴重である。柔道をしていたという大柄な体躯は威圧的で、強面の面貌とともに、その筋に入ったとしても立派な親分になれるものと思われる。上司とともに伺候した私の用件を立たせたまま言わせて五秒で即決して、すぐ帰れといった顔を見せるその姿は正に組の大幹部の風格がある。まあ、会社の年史など屁とも思っておられぬのであろう。それもよし。大いに売っていただき会社が繁栄すればそれでいいのである。私がしている仕事など、実際金を稼げる訳でなし、無意味とは言わぬまでも、首を傾げたくなる類のものであろう。私も同意しているだけに、ぐうの音も出ないのである。