パリ再び

十月十三日(火)晴
昨夜パリに着き、今朝は朝から二十日の香席の会場の下見に行く。立派な城館の広間に畳を敷いて香席をやるのである。すぐ横にある完全に和風の茶室も借りて聞香の後呈茶をする予定であったが、暖房がない中この寒さではちょっと難しいかも知れない。タクシーで移動し、昼前に会社に顔を出す。L氏が案内して社内を回り挨拶を交わす。辛うじて何人か旧知の者もいたが、多くは私がパリにいた頃にはまだ生まれていなかったであろう若い人たちがほとんどであった。遅い昼食をL氏と取り、会社に戻って雑事を片付けた後私は一人で地下鉄の駅で3つ程先のカフェに赴き、3時から嗅覚的要素を取り込んだ造形作家のボリス・ロウ氏と会って話を聞いた。熱心に自分の芸術観や作品について語ってくれ、すべてを理解できた訳ではないが、ある程度彼のやろうとしている方向性を掴むことが出来た。この12月には京都で展覧会を開くとのことで、その時の再会を約して別れた。それから歩いてホテルに戻る途中サンドイッチと水を買い、部屋で食べて早目に寝る。