梅便り

一月三十一日(火)晴
晝休み散策に出で梅屋敷跡まで脚を伸ばす。昨日より氣温は大分下り風もあれど日向は陽光暖かく快適也。梅屋敷の梅は四分咲ならんか。紅白の梅花馥郁たり。余は白梅の香を好むものなれば昨日に増して芳香を樂しむを得たり。苑域の狭くなりたる様子にて、さは京濱急行の高架線化に因る周囲の道路擴張の余波ならん。嗚呼、悲しむべし。利便を先にし江戸の文雅の名残りだに敬ふことなし。帰途、二十七年前余が競技用二輪車を購ひ求めたる輪業店、國道よりやや引き込んだ處に現存するを見て漫ろ舊懐の念起こり、年月と余の體力の衰へを思ふにうたた悵然たり。
此の日用向きにて仏蘭西宛て書簡を投凾す。苦心惨憺の仏蘭西語作文にて在仏日本人及び在日仏蘭西人の添削を經て完成せしもの也。大いに仏蘭西語の勉強になる。