冬景色

嶺庵の近くを流れるいたち川に白鷺を見かけることはこれまでにもよくあつたが、今年は何故かその数が多い。今朝など五位鷺らしいのもゐて、白鷺に至つては五・六羽が川面に姿を見せてゐる。中にこぶりなものもあるから子どもたちなのかも知れない。その純白な羽の色は雪にも似て目に涼しい。其れが朝の凛冽な空気の中で朝日を浴びて実に清清しいのである。わたしは駅へ向ふ川べりの遊歩道を急ぎながら、何かとても幸せな気分になつてくる。
此のごろは朝会社に向ふ途上でもわたしは日々を生きる幸福感に満たされて微笑みに至る一歩手前のやうな表情でゐるのだが、今朝はつひに口角が緩むのを禁じ得なかつた。悲愴な気持ちで過ごしたつい二年前の正月と比べると雲泥の差だが、境遇自体は何も変つてはゐない。要は心の在り方、気の持ちやうなのである。其の事を身に染みてわかつただけでも此の二年間は無駄ではなかつたと思ふ。今わたしは佛道とともにあり、穏やかで充実した日々を過ごしてゐる。多くの人に感謝の気持ちで一杯である。
今日は十四日、八斎戒を実行する。