徳田の夢

JRの車両が東に向つて集結しつつあるといふ情報を聞きつけたわたしは、危険を冒して線路際を歩いて行く。果せるかな次々と新幹線車両が何本もの線路を使つて同じ方向に走つて行く。尚も歩き続けてゐると、いつの間にか自分の会社の工場の中に入り、更に建物の中に入ると丁度新入社員の研修をしてゐるところであつた。わたしは意を決してJRの此の動きについて講演をしたい旨を申し出ると、人事部はあつさりと承諾してくれるが、其の前に新入社員の中にゐる女の子三人組のアイドルグループによるステージが始まつた。其れはインド風の踊りと衣裳であつた。其れを見てゐる間にわたしは自分が風呂に入つてゐない事に気づきシヤワーを探して相撲部屋に行くと、丁度稽古が終つたところで皆が一斉に引き上げ、わたしは自分の履物がなくなつてゐるのに気づく。已む無く残つてゐた雪駄を履いて歩いてゐると中学時代の友人徳田がゐて、さういへば昔一緒に遊んでゐたSは今何をしてゐるのかと聞かうとしてSの名前が思ひ出せず、そのうちに考へて見ると此の徳田にも三十年くらゐ会つていない事に気づき、ああいつもの夢だなと思つたら目が覚めた。