格好いい男

わたしにホモセクシュアルな傾向はないけれど、それでも好きな男優、格好いいと思ふタレントや有名人は多い。マカロニや『傷だらけの天使』の頃の萩原健一は滅茶苦茶格好良くて憧れたし、成田三樹夫高倉健三船敏郎の男つぽさにも痺れた。長嶋茂雄も見た目として単純に格好良かつた。さうした中、今活躍してゐる俳優の中でわたしが一番格好いいと思ふのは北村一樹である。
映画『皆月』で出会つて以来、出演した映画は結構見てゐる。ビデオで見たのが殆どだが、『許されざる者』や『濡れた赫い髪』は劇場で見た。ヤクザやチンピラやホストがどうしても適役になつてしまふけれど、顔立ちの端正な美しさと日本人男性としては異例とも言へる文字通りのセクシーさは特筆に価しやう。体もいいし、ワルをやらせたら目が完全に行つてしまふ怖さがあるのだが、一方で少年のやうな無邪気さや弱さも見え隠れするところがたまらない魅力だ。自分が女だつたら抱かれたいと思ふだらう唯一の男性である。映画の北村一樹に馴染みすぎたせゐかテレビだとどうも浮いたやうな演技が鼻につくのだが、『夜王』の時はさすがに格好良かつた。ああいふ派手な格好が嫌味なく似合ふ男は多分本物のホストには居ないのではないかとさへ思ふ。少なくとも松岡昌宏なんか足元にも及ばないのは確かである。
龍が如く』ではちよつと余りにも格好良すぎて白けたが、『弱虫-チンピラ』と『皆月』あたりの狂気に近いチンピラヤクザ役が一番好きである。結局、女は(男は、か?)ワルが本当は好きなのではないかと思ふのだ。