寂しき金曜

一月三十一日(金)晴
ひとつひとつは取るに足らぬ些細な事であつても、幾つか重なると氣が塞ぐといふか、何だか寂しいやうな悲しいやうな氣分になることがある。今日から會社のスキーツアーがあつて、あきちやんやY子が行くのである。別に嫉妬といふのでもないが若者達で樂しむのだらうとか、ゲレンデでイケメンとの出會ひがあるかも知れぬとかいふ想像は、何となく胸の内にざわざわとしたものを起す。おまけに瑠里ちやんは身内にご不幸があつて今週不在であつたし、奈々江ちやんは忙しさうであつた。他にもちよつと心配事はあつたし、職場で異動があつて來月以降仕事が多くなりさうなのも憂鬱の材料である。仕事の割り當てを余に説明に來たリーダー格が、もし他にこれはやりたいといふ得意先があつたら言へといふので、ぶつちやけ全部やりたくないと答へたらのけぞつて椅子から落ちさうになつてゐた。