終電

十月十日(木)陰
御徒町のような街の路地を曲がった雑居ビルの地下へと家人の導きで降りて行くと、そこは思いがけず劇場になっていて、東京ガールズコレクションを思いっきり安っぽくしたようなファッションショーをやっている。席にはその座席の値段が書かれていて、良い席は5000円もするが皆100円のところに腰掛けている。外人の客も多い。私は1円の席を見つけて座る。横でアパレル会社の一団が出番を待っているのが見える。化粧品の宣伝をしている一群もある。私はすぐに飽きてひとりで外に出ると、丁度これから出番の会社の社長らしい、ゴリラのようにゴツい男性と擦れ違う。歩いて行くといつしか平塚駅南口の辺りにいて、会社の職場の飲み会が終わったばかりのようだ。N氏ふたりがいつもの様子と違って大いにはしゃいで騒ぎ廻っているうち、終電から一本前の電車が出てしまう。これで終電まで30分近く待つことになるのだ。やれやれと思ってしばらくしてからふと時計を見ると終電の電車の時刻を二分過ぎている。見ると駅に電車が入るところで、あれに乗らないと大変なことになると思い急いで駅に行こうとするのだが、駅に向かう道は上り坂でしかも砂地になっている。這い上がろうとするのだが疲れていて中々前に進まない。駅の電光掲示板には5分延発と出ているから後3分である。乗れなかったらどうやって帰ればいいのか分からない。とにかく駅へと急いでいるつもりなのだが、息が切れるばかりで少しも進まない…。
目が覚めてからも、しばらくはあはあと息を切らしていた。本当に疲れきっていた。夢でよかったという安堵感と疲労感で、やがてまたすぐに寝入ってしまった。