隠し玉

八月十二日(土)陰後晴
交差点の道路の上にベンチがある。そこを待ち合せの場所にしたので、私は野球の硬球に約束の日時と相手のYの名前を書いて袋に入れ、口紐を結んでベンチの支柱に結わいつける。しかし、これでは誰かに持ち去られる恐れがあるので、ベンチの下の土を掘ってそこに埋め、紐だけ外に出して分かるようにした。
それから会社に戻って仕事をしていると、集中していたのか気づくともう夜の十一時を過ぎている。終電に間に合いそうもないが、とにかく心配しているであろう家人に電話を掛けようとするが、電話が厳重に梱包されていて中々開くことが出来ない。そうするうちに人の気配がするので警備の人かと思ったら、女性の社員であったが、私に気づかず中の様子を窺っている。私が声をかけてやっと気づく。私がまだ電車はあるのかと聞くと、タクシーを呼んであるから大丈夫との答え。廊下に出るとこんな時間なのに十人程残っている。私はこれから急いで片づけてもとても無理だと思い、再び家に電話を掛けようと今度は携帯電話を取り出すが、ボタンが3つしかない。1つのボタンの押す順番で様々な数字を選ぶ形になっているのだがうまく行かない。
ゴルフショップに居て、私は安い中古のクラブ2本を買うつもりでレジに並ぶが、新品の高いクラブを買う人ばかりを相手にしていて私の方は見向きもされないので、頭に来てクラブを投げ捨てて、吉祥寺から井の頭線に乗る。高野街道に出て歩いて行くと研究所があり、米の品質についての官能評価に加わる。会社のSが精緻な分析一覧表を作っているのを見て驚く。