三色弁当

八月五日(金)晴
車で旅行に出掛ける。一階と二階とを使えるコテージ風の宿である。私が風呂に入っていると幼いままの従兄弟や姪たちが来て遊び始める。その中に三歳くらいの息子も交っていて、改めてこの子は特別に可愛いいと思う。それから家内が先に帰ったようで、私は外のテニスコートに行ってみる。そこでは知人の誰も彼もが大勢でテニスをしていて自分にもやれと言うのだが、私は苦い顔をしてその場を去り露天風呂に入ろうとする。脱衣場でものすごく苦労をして服を脱いだところ、裸になって初めてタオルがないことに気づく。裸で取りに行くと人の多い通りを横切らねばならず、断念して再び時間を掛けて服を着る。車で出掛けた先は教室のようなところで、女子高生三人が現地の有名な弁当を紹介する番組を収録中。私はゲストとして三人と一緒に弁当を食べる。三色そぼろがのり弁のように積み重ねられている弁当で、一人の女の子が「今までこんなのあったでしょうか」などと、妙にきちんとした口調でレポートしている。私はすぐに、この番組に出るのは二度目だと気づく。収録が終わると、リーダー格の娘が私に「旅行の最初と最後にご一緒できましたね」と声をかける。私は「やっぱり君たちだったのか?」と言うと、「覚えてなかったんですか」となじるので、私は「いや、もちろん覚えているけど、念のため」と弁解する。すると右側のリーダー格の娘が一番左の子を指して「彼女もてもてになりそうなんですよ」と言う。その子は私の方を向いて「勉強できちゃうんで」とにっこり笑う。それほど可愛い訳ではないが、大化けする可能性を感じさせる顔つきではある。真ん中の娘は一見可愛いのだが顔のパーツのバランスが悪くて私の好みではない。私はリーダー格の子がいいと思うのだが、その顔をどうしても見ることが出来ず、思い出すことも出来ないのである。とにかく、三人に礼を言って私は車で帰宅することにする。しばらく走ったところで、コテージの下の階に家内の荷物を忘れて来たことと、宿の代金を払わずに来たことを思い出して車を停め、家内に電話を掛けるが電話からは会社の上司が同僚と我が家のすぐ近くの場所で待ち合わせをするという話が聞こえて来て、なんでそんなところに用事があるのだろうと訝しがっている。