歓談

八月四日(木)晴
六時半より赤坂のベルギー料理店「Chez Mikawa」にて、化粧品業界の大先輩Nさん、香料業界の大先輩Yさんと三人で会食。楽しく過ごす。久しぶりのベルギービールも美味。お二人の話は興味深いことばかりであっという間に10時半過ぎとなり、タクシーでお帰りになるNさんに新橋まで同乗させて戴き急ぎ帰宅。12時前には就寝。
戦後の化粧品業界や香料業界の裏話から、日本人の文化と心に根差した香りのあり方に至るまで、極めて興味深い話多し。また、最後に店の主人も加わって戦中の疎開の話で盛り上がり、同じ疎開と言いながら各人の境遇に随分と違いのあることが知れて面白かった。余などは両親の集団疎開に於けるひもじい思いしか聞いていなかったのだが、千葉の母方の実家に疎開したNさんなど、毎日鮑、伊勢海老、蛸が出て、おやつは干したサザエだったという、人生でもっとも豪華な食生活だったというから驚きである。結果として、それがこの夜で最も印象に残った話になってしまった。学校でも東京から来た子供は力がないからと言って労働めいたことは免除されていたというし、大学生を同居させて家庭教師とし「坊やちゃん」と呼ばれていたというから、本物の「お坊ちゃま」だったのだろう。