盛りもの

 11月3日、家内の習っている流派の煎茶道の茶会があり出掛けてきた。久しぶりに着物を着ての久しぶりの茶会である。グランドプリンス新高輪の離れにある和室で小間の玉露、煎茶、大寄せでの酒席など三席に入る。煎茶道では床に盛物と呼ばれる飾り物を置く。花や果実や野菜のほか文具や文人愛玩の品を置くこともある。今回家内は老齢の先生と組んである席の盛物を飾りつける係だった。余も散歩がてら芒や百合の蕾などを採って来て協力したが、結果としてその先生の趣味か「盛り過ぎ」感のあるものになってしまい、余としてはそれほど感心するものにならなかった。もともと煎茶道文人趣味のものであるから余の好みには合うのである。とは言え、家元を除くと門人に男性は皆無で、家内が最も若い方でその下はいないというから、いずれ滅びゆく運命だろう。というより、世襲や家元制ほど文人趣味から遠いものはないのである。

 茶会が終わって片付けを手伝い、飾った花や柿の実を持って帰ることになり、もったいないので家でそれらを使って盛物を自分であしらえてみた。もとより正式に習ったものではなく、余の清源流の無手勝流である。雅題を「竹聲秋色深」とつけてみた。二尺一寸の尺八を置いたのがミソである。こういうのは、余には結構楽しいので、これからもたまにやってみようと思う。

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竹聲秋色深