経済・経済史・人々の営み

明治の闇―神社合祀と樟脳

[数日前、このブログで平田東助の名前を出したが、たぶんあまり知られていないと思うので、わたしが平田を嫌う理由となった「神社合祀問題」について以前書いたものをここに掲載することにしたい] 明治三九年八月、「神社合祀の勅令」というものが発布された…

整理と準備

書斎の片づけを始めた。年史編纂中のゲラや資料の類がまだ大量に机周りに残っていたのを処分し、必要なものは仕分けをした。併せて、積んであった古文書関連や楠香関係の史資料の整理もしている。金曜に卒論で甲斐荘楠香を含む日本の香料産業の黎明期につい…

百年の分解

京都にあるCDIというシンクタンクから『五〇年後のために』という本を贈って貰った。創立50周年記念誌だという。50周年の50年後は計100年だから、百年史を校了したばかりのわたしにとってタイムリーな書物である。1970年に「京都の人文系の学者グループと、…

茶の湯の危機

今回のコロナ禍で思いもかけない形で影響を受けた職種や職業は少なくない。今までの生活が、人の移動の自由や密な空間、人と人との接触という、今や当たり前のことでなくなってしまったことを前提として成り立っていたことに、現代社会としては初めて気づか…

年表の愉しみ

年表を作っている。社史の巻末につけるものなのだが、やってみるとこれがなかなか面白い。何を取って何を捨てるかが自分の判断にかかる訳だから、まさに歴史をみずから作り出している感覚がある。別に捏造しようとしているわけではないのだが、限られたスペ…

大久保の野望

明治6年、大久保利通は内務卿となった。内務省という、それまでの太政官制にない官庁を作ることで、大久保は政府を掌握することに成功する。大蔵省や法務省、外務省といった、国事の主流とされる官庁ではなく、警察機構を取り込み新たな任務と役割をみずから…

赤い星

与那原恵著『赤星鉄馬消えた富豪』読了。珍しく新刊本屋に立ち寄った際に目に留まり、読みたくなって購入。あっという間に読み終わった。 帯に「いったい彼は何者だったのか?」とある通り、赤星鉄馬のことを知る人はほとんどいないだろう。かく言う私も、大…

地理からの視点

デヴイッド・ハーヴェイ『新自由主義』読了。これはすごい本を読んでしまった。世の中のカラクリ、現在の格差社会と人々の不幸の原因がわかってしまった。自分の今までの無知を恥じるというより、知って良かったと思う。いろいろなことが「見えてくる」一冊…

自由について

間宮陽介『ケインズとハイエク<自由>の変容』読了。ハイエクやケインズについて自分が何ほども理解していなかったことがよく分かった。そして、自由についても何ひとつ理解していなかったことも。ハイエクはその名前の響きがハイエナやハイレグを想起させる…

バブルの総括

岸宣仁著『賢人たちの誤算―検証バブル経済』を何日か前に読み終えた。社史の執筆で80年代後半から90年代に至り、自分が入社した後の時代となり、あらためてあの頃のことを詳しく知りたいと思いあれこれ読んでいる。中でも『日本経済の記録』第一巻はニクソン…