自由について

 

 間宮陽介『ケインズハイエク<自由>の変容』読了。ハイエクケインズについて自分が何ほども理解していなかったことがよく分かった。そして、自由についても何ひとつ理解していなかったことも。ハイエクはその名前の響きがハイエナやハイレグを想起させるのと、レーガン流の新自由主義の典拠と勘違いしていたことにより、嫌悪感を抱いていたのだが、これを読んで認識を改めた。読みもしないで誤解する悪い典型に自分がはまり込んでいたのである。

 哲学者とか経済学者の好き嫌いを名前の格好良さで決める傾向が自分にはある。ソクラテスプラトンアリストテレスに始まって、たいていの哲人は名前の響きも格好良い。アリストテレスマルクス・アウレリウスは別格の格好良さだが、近代になってもヴィトゲンシュタインゲーデルデリダなどにくらべ、ポパーやハーバマス、そしてハイエクは安っぽい名前だと思っていたのである。しかし、この本によってハイエクは興味の対象となり、ケインズとともに原著翻訳をいずれは読む気になっている。その前にもう少し、経済学史の概略を知るために概説書を読もうと思っている。自分の興味の中心は経済史だが、そのために経済学および経済学史或いは学説史をある程度押さえておきたいと思っている。