幕臣、維新後の流転

紅葉 3

江戸城二の丸跡の紅葉である。 江戸城がどこにあるのか知らない人、皇居が元江戸城だと思っている人が結構いる。天皇家は江戸城を間借りするにあたって、さすがに本丸は遠慮して西の丸に住居を定めた。おかけで今も本丸跡やこの二の丸には入ることができる。…

紅葉シリーズ 1

秋も深まり急に寒さを感じるようになった。 この季節らしく過去の紅葉の写真を幾つか載せていくことにしたい。 まず下の写真は伊豆の韮山で撮ったものである。昨年、江川英龍に興味を持って韮山代官屋敷を訪ねた際に、近くにある寺の銀杏の紅葉が美しくて撮…

もうひとつの天皇家

浅見雅男の『もうひとつの天皇家 伏見宮』読了。『天皇と右翼・左翼』で度々言及のあった伏見宮系皇族について詳しく知りたくなって読んだものである。初期の伏見宮のことは、横井清の『室町時代の一皇族の生涯』を読んでいたので、「看聞日記」著者である貞…

天皇家対伏見宮家

駄場裕司『天皇と右翼・左翼』を昨日読み終えた。かなり面白い本である。近代日本の隠された対立構図を天皇家vs.伏見宮家皇族の対立を軸として読み解くもので、多少穿ち過ぎの嫌いはあるが、それでも「そう考えた方が確かに分かりやすい」と納得してしまうこ…

時代小説嫌い

宮地正人著『歴史のなかの新選組』読了。時代小説の手垢にまみれた新選組を歴史学の中にきちんと位置づける試みである。わたし自身、時代小説や時代劇、映画などによって捏造された新選組像に影響されてか、逆にこの集団の歴史的意味を軽視する傾向があり、…

土佐勤皇党

安岡章太郎『流離譚』読了。とても良いものを読んだという感覚がある。安岡の作品は長らく読んだことがなかったが、万国博覧会関係への興味から『大世紀末サーカス』を読んでみると面白かったので、続けて『鏡川』を読んだらまあまあの佳作という感じだった…

岩倉の企み

久保正明『明治国家形成と華族』(吉川弘文館、2015)を読んでいる。副本として岩波日本近代思想体系の『天皇と華族』を参考にしながら、明治初期の華族制度成立の過程を理解しつつある。近代天皇制を確立していく中で、ある意味必然とも思われる華族制度で…

御陵衛士

御陵衛士と言えば、通常は新選組を脱した伊東甲子太郎が慶應三年三月に結成した組織のことを言う。泉涌寺にある孝明天皇の陵墓後月輪東山陵を守る衛士というのは建前で、新選組と対抗して勤王討幕の政治活動を行ったとされるが、十一月の油小路事件で伊東ら…

甲斐荘正光の生涯

たまたま生まれあわせた時代が悪かったばっかりに貧乏くじをひいて、苦労や不運が絶えない上に、病気になってあっけなく若死にしてしまう人がいる。幕末に四千石の旗本当主となった甲斐荘帯刀正光の場合がまさにそれであり、史料から読みとれるその生涯の足…

異邦人と敗者

歴史を読む中で、権力者の振る舞いや政治史よりどうしても敗者や虐げられた人々に目が行き、民衆史や生活史のほうに興味を持ちがちなのは、わたしが取りも直さず敗者であるからに他ならない。今年は数えで六十になったわけだが、この六十年を振り返って、確…

幕臣能吏の明治維新

田中正弘著『幕末維新期の社会変革と群像』(吉川弘文館、2008)に収められた、「維新変革と旧幕臣の対応」という論文を読んだ。幕臣であった宮本久平と小一父子の幕末から明治にかけての動向を追ったもので、維新による幕臣の転身の多様さの中でもめずらし…

歴史小説

わたしは歴史小説を読まない。ましてや大河ドラマはまず見ない。何というか、不満と違和感で不愉快になってしまうからである。司馬遼太郎などまったく好まない。「峠」だけ昔読んだことがあるが、その後二度と司馬の本を手にしていない。フィクションならま…